ガリバーが、フェラーリを売り始めた事情 中古車買い取り最大手、脱・卸売り依存に動く

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東京タワーからほど近い東麻布。富裕層が多く住むこの界隈の幹線道路には、高級輸入車販売店が建ち並ぶ。東京でも屈指とも言われる激戦区だ。その一角に、ひときわ目立つ赤い看板を特徴とする、「LIBERALA(リベラーラ)」と呼ぶブランドを掲げた新しい輸入車店が、今年2月にオープンした。

フェラーリ、ポルシェ、メルセデス・ベンツ――。リベラーラの店内には欧州系を中心とした超高級車が展示され、富裕層客を呼び込んでいる。3月上旬に訪れた際には、フェラーリやベンツの赤いスポーツカーが並べられ、その光景は華やかそのものだった。ただ、よく見るとこれらの展示車は新車ではない。中古車なのである。といっても、年式が新しく、状態のいい良質な車に限られている。

リベラーラの裏側には、意外な名前が登場する。ガリバーインターナショナル。黄色い看板が定番の中古車店「ガリバー」を直営・フランチャイズで全国展開、中古車買い取り業界でトップをひた走る企業だ。

高級輸入車に特化した中古車店は初の試み

ガリバーが高級輸入車を専門とする中古車小売り店を手掛けるのは、今回が初めて。一方で、買い取った中古車を原則2週間以内にオークション向けへ卸売りするモデルが、ガリバーの強みであり主力のビジネスである。なぜ、ガリバーが今、フェラーリのような高級中古輸入車の小売りに乗り出したのか。

背景には、ガリバーが取り扱う中古車のうち約7割を占める卸売りビジネスの不安定さがある。卸売りが影響を受けやすいのは、主に新車向けに実施される各種政策。直近の代表例は2012年の前半に国内新車販売の追い風となったエコカー補助金だ。

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