あなたが知らない児童労働の過酷すぎる現場 劣悪な環境に置かれる1億6800万人の子供
堀:全体の規模感としては、私たちが普段いろんなものを買う時に児童労働が関わっているだろうなというものはどれくらいの規模感になるんでしょうか?
岩附:それは難しいですね。国内で完全に初めから終わりまで作られたものは、その可能性は極端に少ないと言えるとは思うんですが。やはり可能性が高いのは、原料が主に途上国で作られているもの。原料といっても、例えばパーム油とかですと、スナック菓子にも入っているし、洗剤にも入っているし、チョコレートにも入っているし。いろんなものに入っているんですね。そういう意味ではすごく特定はしづらいんですけど。多分1人の人が1日、朝食を食べてタオルで顔を拭いて、コーヒーを飲んでと考えると、1日の中で児童労働が関わっているかもしれないものを使わない日って逆にないんじゃないかって思うような気がします。
堀:先進的な、そういう問題に前向きな企業というのはどのような企業があるんですか?グローバル、国内含めて。
岩附:ACEは森永製菓さんとの連携をやっていて。カカオ産業というのは2000年くらいから問題が指摘されて、世界の名だたるチョコレートを作っているブランドはかなり積極的にいろんな取り組みを始めてはいます。ただそれだけやっても解決ができていないという現状もあるんですけど、意識は持っているなと思います。先ほどいくつか言及したものでいうと、パーム油も認証制度があって、そこから買っている企業も結構多いんですけど、認証制度自体の精度にちょっと問題があったりして、なかなかそれも難しいなあという感じですね。
堀:問題というのは?
岩附:認証を受けている現場で強制労働がありましたというレポートが上がってきたりとか。仕組みを作るだけじゃなくて、その仕組みをいかにきちんと機能させるかというのもすごく問われていると思います。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」ができたので、SDGsに沿った形で企業さんも取り組みを始めているところもあります。
2025年までに児童労働ゼロを目指して
堀:今度のその会議は具体的にどういう話し合いが行われて、何がポイントになって、重要な点は何なのか?
岩附:(今年)11月に開催される第4回児童労働世界会議なんですけど、これは「2025年までに児童労働をなくす」という目標が、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の「8.7」に入ってから初めての会議になるんです。2025年という目標が決まってしまっているので、「そこまでにどうやってこれから取り組んでいくのか」、「何が今必要なのか」というのが話し合われる会議だと思っています。児童労働の現状というのも、4年に1度国際的な統計が発表になりますので、9月に新しい数字が発表になり、11月にその会議が行われて。
世界で企業なNGOや政府や労働組合や国際機関、そういう人たちがどのように連携して取り組んでいくといいのか」、「世界でうまくいっていることは何なのか」ということを共有してさらに児童労働がなくなるようにスピードを加速化させていくのがその会議なんですね。