あなたが知らない児童労働の過酷すぎる現場 劣悪な環境に置かれる1億6800万人の子供

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:岩附さんは前回も参加されたそうですが、どのような様子でしたか?

岩附:4年前の第3回会議にも参加したんですけど、その時には世界150カ国以上から1300人が参加していたんです。凄い会議で。中でも印象的だったのは、ブラジルが主催国だったんですけど、児童労働をなくすのにすごく積極的な政府だったんです。「キャッシュトランスファープログラム」と言うもので、貧困家庭に現金を支給して、その条件が、「子供が学校に行くこと」と「ワクチンを打つこと」ということ。それで児童労働がかなり減ったという実績があったんです。そのこと自体は知ってはいたんですけど、その会議でルーラ元大統領が来ていて。スピーチで、ルーラ元大統領も児童労働者だったんだというんです。「僕はそれで怪我をして小指がないんです。」と言って見せて、本当に小指がないんです。子供の時に働いていた時に指をなくしたと。「兄弟が多くてみんなでテーブルを囲んでもテーブルの上に食べるものが何もないというのがすごく悲しかったので、大統領になった日に決意したのは飢餓をなくすということです」とおっしゃっていて。ブラジルがそういうことができたのは、もちろんその時に経済発展していて新たな税を課税できたというのもあるんですけど、強い誰かの思い、政治家の大統領のコミットメントがあって、政府としても全力で取り組んでいったというのがあるんだなと思って。そういうことってなかなか報告書を読んでいるだけではわからないんですよね。そういうのを考えると、やっぱりこういう課題を進めて行く上で、政治を司る人たちの中でそういう風にコミットしてくれる人が必要なんだなと思いました。

:政府との連携は重要ですよね。

岩附:他のアルゼンチンとかの事例が発表された時も、アルゼンチンは国内の児童労働委員会というのを作って、そこにマルチセクターで参加をしていて、企業もNGOも政府も。しかも企業の人たちだけが入っている児童労働撤廃のためのグループもできていて。その企業の方がプレゼンしていたんですけど、その方が「児童労働がなくなるように政策を推進することで一番恩恵を受けるのは企業です」とおっしゃったんです。それもまた目から鱗で。企業の人は利益が大事なので、安い方がいいみたいなマインドがあるのかなと思うかもしれないですけど、「いや、これは企業にとってもメリットなんです」という風におっしゃっていて。企業として児童労働が自分たちの産業内にあること自体がその産業の持続可能性にも大きな影響を与えるという認識があるのと、やっぱり買う側の人たちの意識が人権とか労働の意識が高まって来たという背景もあるんですね。世界の会議に行くと、こういう取り組み方でこういう風に連携して取り組みが進んでいるんだなというのがよくわかって。

:連携でいうと、日本の状況はどうでしょう?

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