あなたが知らない児童労働の過酷すぎる現場 劣悪な環境に置かれる1億6800万人の子供
岩附:そうですね。自分の子供にそれをさせたいかどうかを考えたらいいんだと思うんです。自分の子供にさせたくないことは他の子供にもさせたくないと思うんですよね。児童労働の話をするとたまに、「貧しいんだからしょうがないじゃないか、働かなきゃいけないんだから」という風におっしゃる方がいるんですけど、そう言ってしまうと何も解決しなくて。働かされている親御さん自身も働かせたくているわけではなくて他に選択肢がない、もうこれしかないからしょうがないんだという状態なんですよね。
そこをなんとかうまくやっていけるように考えていこうよと話しかけるのが、私たちが現地でやっているプロジェクトです。そういう社会の雰囲気というのが必要だろうなと思っていて。児童労働を他人事ではなくてもう少し身近に感じてもらえるように私たちも努力が必要ですし、自分の子供にさせたくないことは他の世界の子供たちもしてたら「あれなんでかな、どうしてこうなっちゃうんだろな、どうしたらいいんだろな」というのを一緒に考えていってもらえたらいいなと思います。
身近に存在する児童労働が関わっている製品
堀:チョコレートや繊維の話がありましたけど、私たちは知らない間に、児童労働が大本になったものを使っていたりするということでしょうか?
岩附:そうですね。実は今、児童労働によるものが何かっていうのが一つ一つは特定が難しいという状況がありまして。全部は追跡はできないと。アメリカ政府が出しているレポートがあって、「どの国のどういう製品は児童労働とか強制労働がありますよ」というレポートはあるんですね。どの国にどういう課題が大きいのかというのはある程度特定されていて。
「この国のどこどこのバナナは児童労働や強制労働があります」といのは公開情報としてあります。ただ、個別の企業のこの商品の原料がどうなのかということまで言われると、なかなかそこまでは特定しづらいというのが現状です。
でも、特定しづらいということは「みんなが関係者」ということなんですね。それは、企業も関係者だし消費者も関係者だし、みんな児童労働があるビジネスのサイクルの中に入っているので。そこに入っているということは、みんなの意識が変われば、その原料を作っている現場にもアプローチしていけるんじゃないかなと思っていて。ACEでは、その消費者や企業へのアプローチというのも重視して、サプライチェーン(供給連鎖)の児童労働がなくなって行くように企業がきちんと取り組むこと、そして消費者が児童労働や強制労働がないと言われる商品、フェアトレードだったり、そういうものを好んで買って行くようになることも活動の中で進めています。