中国の地方政府、”陰の銀行”で膨らむ債務 水面下で進む"危機”
[上海 23日 ロイター] - 中国の経済成長は明らかに鈍化しているが、信用の伸びは止まらない。将来性のないプロジェクトや衰退産業が信用の大半を飲み込む一方で、より生産性の高い借り手は資金繰りに窮している。
こうした状況は、銀行の通常の預金・融資とは別ルートで資金を集めるシャドーバンキング(影の銀行)で顕著だ。
国内の預金者に高利回りの金融商品を販売し、その資金で新規融資を行ったり資産を購入する信託会社は急速に成長している。
信託会社は、2012年に保険業界を抜き、中国の金融セクターで、資産規模で最大の商業銀行分野に次ぐ規模となった。信託部門はシャドーバンキングに占める割合が最も大きい。
ロイターは、信託商品や理財商品などのデータを収集するリサーチ会社、Use-Trust Studioから入手した2012年に行われた総額2340億元(1166件)の信託融資を分析した。これは、2012年に行われた総額3兆元の信託融資の約8%に相当する。
それによると、2012年の信託融資のうち、新たな投資プロジェクトや既存設備の生産性向上など、現在の経済活動のために使われたのはわずか半分程度で、残りは、もはや経済成長に寄与していない過去のプロジェクト資金の借り換えだった。
これをみると、融資状況と経済成長が関連していないことが分かる。多くのアナリストは、中国の経済成長が信用に依存する度合いが増していることを懸念している。これまでと同じ成長率を維持するには、今以上の借り入れが必要になる可能性がある。
GKドラゴノミクスのマネージングディレクター、アーサー・クローバー氏は、2009年以降の中国経済成長は、不釣り合いなほどの信用の伸びにより実現されてきたが、その結果、地方政府や国有企業は返済不可能な債務を抱えることになった、と指摘する。