そこかしこに「アマゾンの影」が伸びている アメリカの有力企業が避けて通れぬ懸案に
[ニューヨーク 28日 ロイター] - 自動車修理から実験道具、水泳プール用品に至るまで、米国のビジネスに幅広くのしかかっているものは何か。答えは、アマゾンだ。
今回の決算期、これまでのところ米企業700社近くが第2・四半期決算を公表したが、決算説明の電話カンファレンス10回に1回程度、米ネット通販大手アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>の名前が登場している。アマゾンにシェアを奪われ続けている小売企業は、まだ決算を発表していないにもかかわらず、だ。
この数週間に行われたS&P1500種採用企業の電話カンファレンスをロイターが分析したところ、アマゾンの話題が偶然または緊急性を伴った形で取り上げられたのは、75のカンファレンスに上っていた。これは、米IT大手アルファベット<GOOGL.O>やその傘下のグーグルが取り上げられた回数の倍以上であり、アップル<AAPL.O>の3倍に及ぶ。
アマゾンの影響力が急速に拡大
アマゾンの名前が圧倒的頻度で企業幹部やアナリストの話題に上っていることは、アマゾンの影響力が急速に拡大していることの新たな証左だ。先月、米自然・有機食品小売大手ホールフーズ・マーケット<WFM.O>を140億ドル近くで買収すると発表したことも、新たな懸念材料となっている。
もともとは伝統的な店舗型小売業にとっての脅威にすぎなかったアマゾンの暗雲は、米経済の隅々にまで届くようになり、次はどこが標的になるのか懸念する声もある。これまで、アマゾンについて特に心配していなかった企業幹部ですら、自身の業界にアマゾンがどう影響し得るかという質問に答えなければならない場面が出てきた。
台所用スポンジからステンレスの歯の詰め物まで何でも作る米複合企業の3M<MMM.N>のカンファレンスでは、数人のアナリストがアマゾンに触れた。一方、ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)<JNJ.N>の幹部は、アマゾンが同社の一般消費者向けブランド商品のリスクとなるのはどのような場合かと聞かれた。