そこかしこに「アマゾンの影」が伸びている アメリカの有力企業が避けて通れぬ懸案に
ファストフード大手マクドナルド<MCD.N>のスティーブ・イースターブルック最高経営責任者(CEO)は、ホールフーズ買収の影響についての質問に正面から答えることは控えた。ただ、「ビジネス界がいかに破壊的で、早いペースで動いているかを示している」と答えた。
トムソン・ロイターの2000年以降のデータによると、マクドナルドや3M,ジョンソン・エンド・ジョンソンの幹部が決算説明でアマゾン関連の質問を受けたのは、今回が初めてだった。
「(企業経営者は、アマゾンが)自分の業界に進出してくるかもしれないという単なるうわさを聞いただけでも脅威を感じている」と、オハイオ州トレドを拠点とする投資コンサルティング会社のアラン・ランス氏は指摘する。30年以上、投資業界に身を置く同氏は、
「いろんな業界をまたぎ、あちこちに進出している。こんな事態は記憶にない」という。
アマゾンを注視
アマゾンについての言及すべてが、懸念を示すものだったわけではない。同社とのパートナーシップ強化や協力関係の締結、同社のセールイベント「プライムデー」を通じた売り上げの増加、ホールフーズ買収による新たなビジネスの可能性などに言及する企業も多かった。
だが、タイヤサービス業モンロ・マフラー・ブレーキ<MNRO.O>や水泳プール用設備のプール<POOL.O>、給湯設備のAOスミス<AOS.N>
の決算説明会では、アナリストがアマゾンを懸念材料として挙げた。
「彼らは一大勢力だと考えている」と、空調設備卸ワッコ<WSO.N>のアルバード・ナーマド氏は、質問に答えて言った。「米経済は、今までこんなものを経験したことがない。アマゾンを注視していく」
問題となっているのは、アマゾンの圧倒的な規模、安い価格で売ろうとする姿勢、多様な種類の製品やビジネスを取り込もうとする熱意がもたらす競争面での脅威だ。
新たな小売領域や国への急速かつ高コストな拡大を減速させる兆しがないなか、アマゾンは今回の決算で、小売りでの売上急増と収益の減少を発表した。