日米AIバトル、「日本企業」に勝ち目はあるか アマゾンやグーグルなどの巨人とどう戦う?

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こうした各社の動きを見ても、国内でAIプラットフォームへの参入が活発になっていることが理解できる。だが同時に「結局はアマゾンやグーグルに市場を奪われるのではないか」という感想を持つ人も多いだろう。

確かに米IT大手は、OS(基本ソフト)や検索、ECなど、ITに関連するあらゆる市場を掌握し、AIに関する技術開発やデータ収集においても高い優位性がある。グーグルはAIスピーカー「Google Home」を日本市場に投入することを明らかにするなど、今後日本に積極展開する可能性が高い。

日本企業の勝算は“日本語”にあり

国内企業はどう立ち向かうのか。カギになるのは「言語」である。AIプラットフォームは、AIスピーカーに代表されるように、音声で話しかけて利用することが前提とされている。それだけに重要になるのは、各国・各地域のユーザーが普段話している言葉をAIが認識し、その意図を正しく解釈できるかどうかだ。

アマゾンやグーグルが日本進出に時間がかかっている理由は、日本語のローカライズに手間取っているからである。日本でAIプラットフォームを展開する企業は、日本語の言語処理研究において米IT大手と戦っていけると判断したからこそ、参入したのではないだろうか。

言語面での優位性を活用して国内企業が出し抜くのか、圧倒的なパワーを持つ米IT大手にねじ伏せられてしまうのか、動向を見極める必要がある。AIに関しては、従来のテキストベースで展開されていたサービスとは異なる競争が待ち受けているのは確か。それだけに、今後の戦いは面白いものになりそうだ。

佐野 正弘 モバイルジャーナリスト

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さの まさひろ / Masahiro Sano

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける

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