生配信のギフティングに熱狂する人達の心理

前田裕二社長「現代で完成品はいらない」

アバターが画面に映る領域が広く確保されている(写真:SHOWROOM)

そして、アバターという目に見える形があることには、もう一つ大きな意味があります。コメントだけだと匿名性が高すぎて、人間の悪意だけが強調されて場が荒れやすくなります。アバターによって、自分のアイデンティティが存在している状態になることで、「自分ごと」化を強くします。

たとえば、つんく♂さんと、「つんく♂によるあなたのパフォーマンス力総合診断となんでも相談権オーディション!」という番組をやったときに、出演者の方に、今までずっと声優志望だったという50歳前後の女性がいたんです。いわゆるわかりやすい若くてかわいい「アイドル」ではないですし、つんく♂さんは、「この方、出演して大丈夫かな? 荒れたりしないかな」ってすごく心配されていて。年齢のこともあるし、オーディエンスからクレームが来るのではないかということですね。

「温かい場所」をつくる勝算

でも私は「大丈夫です。この人を応援するコメントで埋まるはずです」とつんく♂さんに伝えました。想定どおり、「もっとしゃべらせてあげてよ」「声がすてき!」などという温かいコメントが多く寄せられていました。つんく♂さんも、「これは新しいな」と衝撃を受けていました。

――別の動画プラットフォームだったら、つんく♂さんの懸念どおり、番組が成立してなかったかもしれませんね。

SHOWROOMは本当にあらゆるところで支え合いが生まれている温かい場所なので、確信を持って言えました。この場には、所与の前提条件を超えて、後天的に「頑張っていくんだ」という思いを持っている演者が相当数集まっていて、その姿に心打たれるユーザーも月間100万人以上います。年齢とか見た目とか、一見ハンディキャップに見える何かを抱えている人たちが、それらのコンプレックスをバネにして支援を勝ち取っていく。そういったことに、最適化された場所になっていると思います。

つんく♂さんの番組に出ていた声優志望の女性も、マスコンテンツ化していくかどうかは別で、テレビに出て国民的な人気者になるまでの道のりは正直相当に険しいです。でも彼女は今、ギフティングで相当額売り上げるほどにファンを増やしていて、「私なんかに100人くらい濃いファンがついて、ツイッターで返しきれないくらいコメントつくようになってうれしい。生まれて初めてエンターテインメントを生業とできている」と喜んでくれています。これまでは、注目される可能性がなくて埋もれるしかなかった人が、生まれや才能に関係なく、努力や工夫次第でマネタイズが可能になることは、すばらしいと思っていて。

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