生配信のギフティングに熱狂する人達の心理

前田裕二社長「現代で完成品はいらない」

SHOWROOMの動画配信で人気を集めているアイドルやタレントのコンテンツに共通しているのは、「未完成であること」です。足りない部分、欠けている部分があるからこそ、オーディエンスが共感を深めていく。今の人は、作り上げられた「他人の物語」を消費することに飽きてしまっているんです。

――コンテンツが作り込まれていることが、逆に現代ではマイナスと感じられてしまう?

人々は、ただ完成品を買って受け取るよりも、完成品が出来上がるまでのプロセスを消費したいと考えています。今後は、物の「完成」の定義を変える必要があるんです。まず前提として、僕は「人間のニーズはとにかく多様である」という仮説を持っています。しかし、これまでは残念ながら人々が自分が好きと感じられる面白いコンテンツを、能動的に探しにいく手段がありませんでした。その多様なニーズは、マスメディアによって狭められていた時代だと思っています。

テレビしかない時代はメガヒットに再現性があった

――これまでは選択肢がなかったがゆえに、テレビなどが最大公約数的に作ったコンテンツを皆で消費していた。

そうですね。テレビしか主なコンテンツしかなかった頃は、メガヒットの再現性は高かったと思います。たとえば、1990年代に小室哲哉さんが作った作品は、どれもミリオンヒットになりましたよね。ドラマの主題歌としてタイアップするとか、イベントとひも付けるとか、成功する方程式がありました。

しかし、今はインターネット、そしてスマートフォンというデバイスが登場することで、もともと潜在的には多様だった個人のニーズを、一つひとつ満たしていくことが可能になりました。YouTubeを検索すれば、自分が面白いと思うものを好きなだけ見ることができる。テレビにみんなが熱狂している時代ではありませんから、同じやり方では再現性がないのは当然です。

人々が自分の好きなものをネットで自由に見たいと考えている時代は、単純に「完成度が高い」「面白い」というだけでは、埋もれてしまう。そこから一歩踏み込んで、いかに個々人の優先順位リストのトップに持ってこれるか、というところまで設計する戦略が大切になるわけです。

そして、現代の人々は、エンターテインメントにパフォーマンスやブランドを求めているわけではありません。最も重要なのはインタラクション、つまり双方向のコミュニケーションです。演者が、自分を支えてくれているオーディエンスのところまで下りて、丁寧に語りかける。その距離感によって、観客は今までになかった感動を味わって、濃厚なファンになってくれるのです。

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