ホームで焼肉!駅が「宿」だとこんなに楽しい 無人駅の駅舎はどうして宿になったのか

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2人の今回の目的は山スキー。山スキーは、ゲレンデでなく、自然の山で行うスキーらしい。そういうスポーツをまったく知らなかったので、ついいろいろ聞いてしまう。会話というよりインタビューみたいになってしまった。

たくさん話したせいか、ビールが2本目のためか、けっこうお腹がふくらんできた。

確かにこの焼きおにぎりは大きく、食べきれそうにないので1つを兄弟に食べてもらった。足りないのではないかと心配して電話したのが恥ずかしくなった。

2人は翌朝早いということで、先に部屋に戻っていった。私と乙幡さんは、サッポロクラシックを飲みながら、辺りが暗くなるまでのんびり過ごした。

なぜ駅舎を宿に?

オーナーの南谷吉俊さん。談話室の薪ストーブの前で(筆者撮影)

それにしても、なぜ比羅夫駅の駅舎を宿にしたのか。駅の宿ひらふのオーナー、南谷吉俊(みなみたによしとし)さんにお話を伺った。

――どういう経緯で駅の宿ひらふができたんでしょうか?

「実は前のオーナーがいまして。その方はひらふスキー場でスキー民宿をやっていたんです。比羅夫駅は昭和57(1982)年に無人になり、駅舎はそのまま残っていたので、ここで宿をやればいいんじゃないか?と思いつき、国鉄時代に一度相談したんですが断られたんです。しかし昭和62(1987)年のJR発足のタイミングで再度問い合わせてみたら、貸してくれることになったそうです」

――なるほど。ところでHPに書かれているオーナープロフィールを見ると、南谷さんは京都出身だそうですね。

「そうなんです。京都の大学を出て、就職もしていました。大学でサイクリング部だったので日本各地を自転車で旅していまして、平成元(1989)年に羊蹄登山をしようと、何も知らずここに駅寝をしに来たのが、前のオーナーとの出会いでした。もともと山の見える田舎町に住むのが夢だったんです。その後、退職して平成7(1995)年に北海道に移住し、こちらに勤務。翌年にここを任されてオーナーになったんです」

――すごい決断ですね。ここはどのような方が泊まりに来られますか?    

「主に羊蹄山で山登りが目的の方、旅の途中で寄られるというご家族の方が多いです。この宿は子どもさんに喜ばれます(笑)。あとは列車好きの方と。それぞれ同じくらいずついらっしゃいますね」

――みなさん列車で来られるんでしょうか?

「いえ、車の方が多いです。夏場は2カ月間、主に羊蹄山登山のお客様が休みなく続きますね。冬もニセコへスキーに来る方が多いです。送迎サービスもやってます」

――そうでしたか。駅舎の宿なので、てっきりみなさん鉄道を使って来られるんだと思っていました。

「鉄道だと本数が少なくてなかなか来られないですよね。昨年本数が2本減ってしまいましたし。前は19時台があったんですがなくなってしまいました」

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