東京人が知らない北九州発「角打ち」の魅力 これぞ日本が誇るべき文化だ!

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近年の日本酒ブームによって、自ら日本酒を買うためにいろいろ調べたり、蔵元まで足を運んだりする人が増えている。蔵元側も酒初心者やワインファンのために味を調整し、飲みやすい商品を出すようになっている。

こうした中、もともと焼酎より日本酒が好まれてきた九州北部(特に福岡や佐賀)の角打ちもじわじわと人気を集めるようになってきている。また、広島や東北など、同様に日本酒が広く普及している地方にもちょっとした「角打ちブーム」が訪れているようだ。

角打ちにはほかにない魅力がある

ただ、日本酒ブームといっても、農林水産省によると日本酒の出荷量自体は最盛期からは大きく落ち込んでいる。また、近年は日本酒同様にクラフトビールやオシャレなバルが盛り上がりを見せるなど、「ライバル」も増えている。角打ちが今後、生き残れるかどうかに対しては懐疑的な見方を示す人も少なくない。

が、結論からいうと、角打ちや立ち飲み屋が消えることはないだろう。なぜかというと、その必要性がないからだ。というより、日本が現代的になればなるほど、日本独自の古き良き時代のムードを保っている角打ちの「価値」は高くなるからだ。

常連客にとって角打ちは「第2の家」のような存在だ。また、昔に比べて入りやすい雰囲気になっているので、女性や若者、そして外国人も人々と触れ合えるとして重宝されている。九州独自の文化を体験するうえで角打ちほど良い場所はない。

角打ちには、道端の屋台やワインを多く置いているおしゃれなバル、落ち着いたコーヒーショップやクラフトビールバーにはない、独特のアットホームで庶民的な雰囲気があり、それが多くの人を魅了しているのだ。

ただ、今後形態が進化することは考えられる。たとえば、ワインショップやクラフトビール店で角打ちや立ち飲みを始めているほか、従来の日本酒や焼酎をメインにする角打ちにも、女性や若い客層にアピールするためにシックな現代風の店構えにしているところが出てきている。日本酒ブームを追い風に、コスパがいい純米酒だけ扱う角打ちや立ち飲み屋もある。

にわかに人気を集める角打ちは、これまでの懐かしさや雰囲気を保ちながら、新たな客層や時代に対応するために進化し続けるに違いない。

真木 鳩陸 フリーランス翻訳家、ライター

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まき ぱとりく / Patrick Mackey

米国・オレゴン州生まれ。2004年早稲田大学で留学、2006年オレゴン大学卒業後、日本に移住。兵庫の旅行会社でライター・HPコンテンツ制作担当をした後、大阪の翻訳会社で翻訳家、コピーライター、校訂者を経て、フリーランス翻訳家・ライターに(現在は九州に在州)。『Osaka Insider: A Travel Guide for Osaka Prefecture』『Finding Fukuoka: A Travel and Dining Guide for the Fukuoka City Area』を出版。2016年12月に日本国籍を取得。連絡先:makipatoriku@gmail.com

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