通信の「クワッドプレイ」を知っていますか? 米市場で普及進むか

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一方、米国の通信大手はこれまでクワッドプレイの導入に消極的だった。AT&T<T.N>はブロードバンドサービスを手掛ける一部地域で実施済みだが、現在はメディア大手タイム・ワーナー<TWX.N>の買収で当局の承認待ちの状態にあり、モバイルサービスとエンタメ事業の統合に重点を置いている。

CATV最大手コムキャスト<CMCSA.O>は今年初めにモバイルサービスの「Xインフィニティ」を立ち上げたが、クワッドプレイの積極展開には乗り出していない。

また携帯最大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>はかつてクワッドプレイを始めたが、大幅な値引きを期待した顧客から支持が得られなかった。

CATV会社が波乱を巻き起こす要因に

しかしCATV会社がモバイル事業に参入し、料金の面でライバルを打ち負かすチャンスが生まれており、米通信市場の状況は変わるかもしれない。コムキャストとチャーター・コミュニケーションズ<CHTR.O>のCATV大手2社は携帯大手スプリント<S.N>との間で無線サービスでの提携について交渉を進めている。コムキャストとチャーターは既にベライゾンと同じような内容で合意しており、チャーターは来年中に無線サービスを立ち上げる見通し。

「実際のところ、ちょうど転換点を迎えている」と話すのはベイン・アンド・カンパニーのパートナーのマーク・ボワー氏。クワッドプレイが始まった市場ではいずれも、既存勢力がシェアを失うか、新興勢力が値下げにより新たな顧客をつかむかが起きている。米国ではCATV会社がこうした波乱を巻き起こす要因になりそうだ。

スプリントは2005年にコムキャストなどと組み、2億ドルを投じてモバイル市場に参入しながら、08年には「運営が複雑」としてクワッドプレイから引き上げた苦い経験を持つ。

しかしCATV会社が無線通信会社を買収し、モバイルサービスを第3者に依存する態勢から脱すれば、今回は違う結果になるかもしれないとアナリストはみている。

さらにWiFi経由の無線接続が広がり、無線とブロードバンドの境が曖昧になったこともCATV会社のモバイル市場進出を後押ししそうだ。

(Anjali Athavaley記者)

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