次期FRB議長、サマーズなら利上げ早まる? サマーズ氏とイエレン氏。二大候補の違い
サマーズ氏はタカ派にあらず
対照的にサマーズ氏の最近の発言は大半が政府の介入を支持する財政政策に関するものだが、FRBの緩和策を維持する用意があるとの姿勢をほのめかしているともいえる。
しかし、サマーズ氏は金融政策に関して昨年は少なくとも2度話す機会があった。インフレの到来を煽るようなFRBの劇的な政策行動を強く批判する者に対し、自身がタカ派ではないと明確に述べている。
実際に彼は2012年6月3日のロイターのコラムで追加の量的緩和策に賛成すると論じている。
さらにサマーズ氏は4月にカリフォルニア州のサンタモニカで開かれた会合で金融政策に関して最も包括的な発言を行い、インフレを懸念する必要はないとの考えを明確に示している。
懐疑的な見方
ただ、サマーズ氏は追加の債券買い入れのメリットについて慎重な発言もしている。ロイターが入手した草稿によると、サマーズ氏は「私の考えでは量的緩和策は大半の人が想定しているほど景気にあまり有効ではない」と指摘した。
この考え方は、もし景気回復に失敗した際に重要な意味を持つ。
FRBは債券の買い入れ規模をことし中に縮小し、2014年半ばまでに買い入れプログラムを終了すると想定している。もし成長率が期待を下回った場合、縮小開始の時期を遅らせたり、月額850億ドルの買い入れ規模を増やすことを検討したいと思うかもしれない。
サマーズ氏は4月の会合で新興国市場に「小さなバブルの兆しがみられる」と示唆しており、議長に就任した場合には債券買い入れプログラムの拡大には恩恵があまりなく、多大なコストを伴うとして抵抗する事態もあり得る。
もっと言えば、サマーズ氏は景気が将来、過熱することなくどの程度のスピードで拡張していけるかに関してやや暗い見通しを示しており、自然失業率が上昇し潜在成長率が低下した可能性があるとしている。
サマーズ氏はカリフォルニア州の会合で「この考え方が受け入れられる限り、多くの人が考えるよりも引き締め局面の開始が予想より早く到来すると思わせる方向で政策運営すべきだ」と述べた。
この発言は、失業率が6.5%に低下して想定の水準に到達した後、経済が依然としてどの程度の弱さを抱えているかに関して、サマーズ氏が心の中で抱く疑念を示唆したものであり、失業率が6.5%まで下がった時点で早期の利上げ実施の準備は整うとの見方を示したと解することもできる。
FRB元理事のマクロエコノミック・アドバイザーズのローレンス・マイヤー氏は顧客向けのノートで「失業率が6.5%に達した直後のことを考えると、サマーズ氏はイエレン氏に比べてフェデラルファンド(FF)金利の引き上げを支持する可能性が高い。最初の利上げの後も、イエレン氏より早く追加利上げに積極的になるのではないか」と指摘した。
(Alister Bull記者)
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