大戸屋創業家が会社提案に「反対」したワケ 宙に浮いた功労金の行方はどうなったのか?

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これに対して、窪田健一社長は「他社事例、当社の財務状況、複数の税理士法人からの税務上の観点から総合的に判断した。創業家と交渉はしていない。あくまでも三森前会長に対する役職員一同の思いを形にしたもの」と回答している。

ほかにも株主からは、昨年選任した役員11人のうち、2人が3カ月も持たずに退任したことを指摘。窪田社長は「退任した役員は一身上の都合と聞いている」と説明するにとどめた。

創業家の反対でストックオプションは否決

会場で議案の採決に参加した株主は714人。創業家2人も会場に訪れた(記者撮影)

4件のうち、1~3号議案は拍手により可決されたが、4号議案だけは趣が違った。この議案は取締役や店長などに対し、モチベーション向上のため新株予約権を無償で発行するとするものだ。

ただ、新株発行は株式の有利発行につながることもあり、特別決議として3分の2以上の賛成が必要となる。

議長の窪田社長が「本議案は特別決議を要するので、賛否の確認に慎重を期すために賛同いただける株主の方は挙手をお願いいたします」と宣言し、採決を始めた。

株主の手が上がっていることを確認すると、窪田社長は議長台の後方に控える顧問弁護士と相談。その後、「中期経営計画を達成していくために従業員のモチベーション向上のためにお諮りしているものでございます。もう1度確認いたしますので、ぜひご賛同いただければと思います」と再度挙手を求めた。

この2度の採決で、創業家の2人が挙手していないことを確認すると、窪田社長は「3分の2以上に満たなかったため、本議案は否決されました」といい採決を打ち切った。

翌日の6月29日に公表された臨時報告書によれば、取締役10人の選任については賛成率が平均64%、弔慰金と功労金の贈呈についての賛成率は62~63%、ストックオプションについても同63%とかなり低めだった。創業家だけでなく、一部の株主も反対に回ったことで否決された格好だ。

質疑応答で「2億円は多すぎる」という意見があった後の決議となったが、功労金については会社側の説明を受け入れた株主も多かったようだ。

今回の総会には、株主714人(お土産のみ、途中退場者を含めれば1582人)が参加し、前年の681人(同1494人)に比べて若干増加した。質問に立った株主は3人(延べ4人、前年は10人)。開催時間は1時間11分と、比較的あっさりしたものだった。

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