郵政株は安くない?総会で飛び出した迷回答 巨額損失4000億円でも株主総会は平穏だった
株主にとってはたして有意義な総会だったのだろうか――。
日本郵政の株主総会が6月22日、新横浜の横浜アリーナで開催された。純損失289億円と、2007年に民営化されて以降はじめて赤字に転落。その厳しい決算を踏まえた総会だった。
赤字決算について長門正貢社長は、「経営陣一同、大変重く受け止めている。ご心配をお掛けし申し訳ございませんでした」と株主に謝罪。続けて、「(損失の一括計上で)負の遺産を一掃するという認識を示し、好転の転機にしたい」と将来の成長への転換点となるとアピールした。
巨額損失に理解を示す株主も
赤字の主因は2015年に子会社の日本郵便を通じて買収した、オーストラリアの物流子会社トール・ホールディングスの不振だ。資源安に伴う豪州経済の減速から、トールの営業利益は買収前の2割以下に落ち込み、4000億円に上るのれん・商標権などを一括償却する事態に追い込まれた。
買収の成否はむろんのこと、責任問題を追求されてもおかしくない事態だ。それでもその後の質疑に立った株主からは、「一括処理したのは一定の評価をしている」との声が複数上がり、今後の成長へ期待を寄せる株主も少なくないようだった。
ただ株主の期待の一方で、総会で経営陣から成長戦略を具体的に示される発言は聞かれなかった。
「野村不動産(ホールディングス)買収は中止となったようだが、どういうビジネスモデルを描いていたのか」との質問が株主から出た。日本郵政が野村不動産の買収が白紙になったという直近の報道を踏まえた質問だ。
野村不動産の買収については、トールの巨額損失の発表直後とあって批判的な向きが多かった。ただ、日本郵政が保有する不動産を収益化できるM&Aとして期待を寄せる投資家もおり、株主の注目は高かった。
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