大戸屋創業家が会社提案に「反対」したワケ 宙に浮いた功労金の行方はどうなったのか?

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会社側が創業家に功労金を支払うことで事態は収束するかと思われていたが・・・(撮影:尾形文繁)

「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングスは6月28日、新宿のハイアットリージェンシー東京で定時株主総会を開いた。

2016年5月に現経営陣と創業家の対立が表面化してから、両者が直接顔をつきあわせる2回目となった今回の総会。昨年は取締役の人事案をめぐる対立が中心だった。

功労金、弔慰金の支給が争点に

会場となっている新宿のホテルは、三森久実夫妻が結婚式を挙げた思い出深い場所。大戸屋の株主総会はおおむねこのホテルが使われている(記者撮影)

今年に入り、前会長の故・三森久実氏の息子・智仁氏が取締役復帰を断念したこともあり、争点が功労金に移っていた。

功労金は、久実氏が保有していた株に巨額の相続税が発生することを懸念し、同氏の生前から検討されていた案件だ。

今回の総会で会社が上程している議案は4つ。1つ目は取締役10名選任、2つ目は弔慰金贈呈、3つ目は創業者功労金贈呈、4つ目はストックオプションとして新株予約権の発行だ。

2番目、3番目の議案については、会社側は創業家に相談することなく、5月上旬に議案として決定。内容は久実氏の遺族に対し、創業者功労金2億円と、弔慰金1000万円を贈呈するというもの。

現在、創業家側は故・久実会長の妻である三枝子氏が13.14%を、息子の智仁氏が5.63%、合計2割弱の株式を保有する。「三森家」という影響力もあるため、この議案が可決されるのか、そして創業家がどういった反応をするのか、注目が集まっていた。

当日は業績説明のあとに続いて行われた、株主からの質疑応答で、ある年配の女性株主は「2000万円や5000万円なら仕方ないが、2億円は多いのではないか。この規模の会社では屋台骨が揺らぐ。創業家とトラブルがあったので、口封じのため渡すのではないかと悪く解釈してしまう」と疑問を呈した。

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