(第11回)社会人への“マインドシフト”は、台本を貰った役者の役づくりと同じだ

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 さて、話を元に戻そう。社会人という役柄の登場人物にマインドシフトした貴方は、以下のようなことを考える。

(1)その仕事に主人公である貴方はやりがいを感じることができるか。
(2)自分の持っている能力、性格を生かせばこのような活躍ができるのではないかと思えるか。
(3)さらに過去の経験に当てはめて採用担当者の前で(1)や(2)のように感じ、思えた自分をプレゼンテーションできるか。
 マインドシフトでは、こういったプロセスを検討していくというわけだ。
 このような方法が有効なのには明確な理由がある。というのも企業は、採用ホームページや入社案内といった広報ツールには会社で活躍する社員や、まさにこういう人物を採用したいのだという社員を登場させるからだ。そのタイプに自分を当てはめて共感できる、合致するのではないかという部分が多いということは、会社が採用したいという人物にかなりの部分でマッチングしていると判断することができる。

 さらにマインドシフトの精度を上げたいという方にお勧めなのは、OB・OG訪問である。ところが、このOB・OG訪問を行う学生が減少の一途をたどっている。学生側の立場からすると、「業界研究で興味を持った企業のホームページをチェックしてみると、"当社ではOB・OGの紹介は行っていません"と書かれていた」ということが減少の理由だと言うかもしれないが、すべての企業がホームページ上で拒否しているわけではないので、対応可能な会社を探せばよい。

 実際の社員と会って自分が行ったマインドシフトを確認してみると、バーチャルな情報だけでは分からなかった色々なことが分かるはずだ。マインドシフトしたイメージを裏切られることもあるだろうし、逆に自分がイメージしていたもの以上のこともあるだろう。マインドシフトとは、全国津々浦々どの大学に通っていてもできる方法だ。イメージすることをリアルに確認する、この作業こそが企業研究や仕事研究を主体的に行うということなのである。
八木政司(やぎ・まさし)
採用プロドットコム株式会社 企画制作部 シニアディレクター
1988年関西学院大経済学部卒。大手就職情報会社で営業、企画部門で主にメーカーの採用戦略をサポート。その後、全国の自治体の地域振興に関る各種施策や計画書の策定業務に携わり、2000年から再び企業の採用支援業務に取り組む。08年4月より現職。
採用プロドットコム株式会社 https://saiyopro.com/
佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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