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「異色すぎるNHK経済番組」が問いかけたこと

経済の外に踏み出しているように見える話が、実は、中心の命題にかかわってくる(撮影:今井 康一)
この星は欲望でつながっている。
やめられない、止まらない、欲望が欲望を生む……。
わたしたちはいつからこんな世界を生きているんだろう?
2016年5月に放送されるや大反響を巻き起こしたNHKの異色の本格派経済教養ドキュメンタリー『欲望の資本主義』が、未放送インタビューとともに書籍化された。
ジョセフ・E・スティグリッツ、トーマス・セドラチェク、スコット・スタンフォードら世界の知性と対談し、番組ナビゲーターを務めた気鋭の若手経済学者で大阪大学准教授の安田洋祐氏、NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー丸山俊一氏、ディレクター大西隼氏が、番組制作の裏側を語った。

「そのモデルを疑う視点はないのだろうか?」

『欲望の資本主義』著者で硬軟さまざまなユニークな番組を企画・開発し続けるプロデューサー丸山俊一さんと、『仕事なんか生きがいにするな』の著者で精神科医、作曲家、そして著述家として多彩に活躍する泉谷閑示さん。共に現代社会、人々の心のありようなど、さまざまな問題を考え続ける2人によるトークイベントが開催されます。詳しくはこちら

――NHK『欲望の資本主義』は、コンセプトも映像表現も非常にユニークでした。

丸山:数年前から、経済そのものをさまざまなフレームで問い返すことはできないか、もやもやと思ってはいたんです。そんなとき、たまたま観たハリウッド映画『インセプション』(2010)から着想をもらって、「無意識」と「経済」を絡めた番組ができないか、と妙なインスピレーションが生まれたんです。

「欲望」は時代が、社会が「植え付け」るもの、だとしたら……その始まり、発端(=インセプション)まで視野に入れたとき、見えてくる構図は……? 

だから原案では「欲望のインセプション」というタイトルでした。そこから試行錯誤が始まり、大西さん、安田さんとのコラボレーションを経て今回の形になりました。

――『異色すぎるNHK経済番組』は、こう生まれた」によると、丸山さんは30年前、学生だったバブル期から経済のジレンマを感じられていたそうですね。経済成長が難しい時代になり、その頃の思いが湧き上がってきたと。

丸山:そんなカッコイイ話じゃないと思うんですが(笑)、当時から近代経済学を学びながらも「これだけで本当に説明できるのか?」「時代のパラダイムゆえの限界は?」と漠然と感じていました。番組の中に、「アダム・スミスは間違っていた」という話がありますが、ひとつのモデルは大事だけど、どこかでそのモデルを疑う視点はないのだろうか、と。この思いが30年間、地下水脈のようにあったことは間違いないですね。

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