プロレスのリングに上がるアイドルの心理 松井珠理奈が飛び、宮脇咲良が叫ぶ
「私たちは夢の世界の住人ではない。きれいなところだけ見せるのではなく、悲しんだり落ち込んだりしたことをそのまま言うほうがファンの方は支持してくれます。そこもプロレスとすごく似ているなと」
試合部分のトレーナーのプロレスOBからは、悔しい時にリングを叩くなど大きな動きで感情を表現することも学んだ。
「今は、頑張ったり熱くなることがかっこ悪いと思われる時代。そんな時代に私たちアイドルもプロレスも自分の感情をむき出しに、ダメなところも見せたくないところも見せている。そこが私は好きです」(宮脇さん)
人形から人間になった
ドラマにとどまらずアイドル、特に女性アイドルが実際にプロレスラーになるケースがここ数年急増している。その先駆者が2010年にプロレスデビューしたグラビアアイドルの愛川ゆず季さん(34)だ。彼女にとってプロレスは、自分を「人形から人間にしてくれた」存在だった。
プロレス入り直前はブログのアクセス数を稼げなければ引退といった企画をやるなど「崖っぷちアイドル」といわれていた。
「デビューしてすぐ、雑誌の表紙に出たいという目標を何の努力もせず実現してしまった。その後は、仕事をもらっても出たとこ勝負。がんばれ、と言われるけど、何をがんばればいいのと思っていました」
そんな時、事務所からプロレス入りを勧められ、初めて「打ち込める目標」を手にした気がした。デビュー後は女子プロレス団体「スターダム」に所属。アイドルだからと思われたくなくて「明日のことを考えない、捨て身のプロレス」を心掛けた。体はきつく、家に帰ってコスチュームのまま寝てしまうことも。ベテランのダンプ松本に試合で「ボコボコ」にやられ、実家に帰ってしまったこともあった。