「株主資本主義」以外の選択肢は存在するのか

永野健二氏と村上世彰氏が語る資本主義の今

村上世彰氏と永野健二氏の対論をお届けする(撮影:今井康一)
M&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)元代表で最近『生涯投資家』を著した村上世彰氏と『バブル』の著者で日本経済新聞社客員の永野健二氏。永野氏は資産バブルに踊った生身の紳士群を現場の経済記者として取材、村上氏はその十数年後に発生したITバブルが始まる時期に投資ファンドを設立した。株式市場を通じて両者が向き合ったのは何だったのか。

 

――今から14年前。東京スタイルとの2回目のプロキシーファイト(委任状獲得競争)で、村上ファンドは僅差で敗れました。

村上世彰(以下、村上):1%の差でした。

永野健二(以下、永野):当時、外国人投資家が「村上、東京スタイルをやれよ」と言ったというのは理解できる。でも「やれよ」ということと、全面的に支援して動くということはなんとなく違うような気がしていた。結果、全面的に支援して動くということはなかったのではないか。

村上:私に直接「やれよ」と言った人間は、私が東京スタイルとプロキシーファイトをやり始めた途端に売り抜けていたと思います。

永野:やはり。

村上:ただし「やれよ」と言ってない人でも、私の主張の大方に賛成していました。外国人投資家で私に反対した人は少なかったのですが、(委任状が届かないとか、当日総会に来られないなど物理的な理由で)最終的に投票できなかった人がいました。当時は外国人があまり委任状を提出しない時代でしたから。

20〜30年単位で見たら正しい方角だった

永野:「東京スタイルと委任状獲得競争をやった」こと自体がおかしいのではなく、20〜30年単位で見たら正しい方角に打って出ているけど、そこまで転がらなかった(=時代が動かなかった)。

村上:はい。ただこれはもう時代の流れで、ISS(Institutional Shareholder Services)などの議決権行使助言会社が機能してきて、株主総会での投票行動(=議決権行使)が正しい方向に変わってきています。ありがたいことに、スチュワードシップコードもできて、信託銀行は(賛成したか反対したかは)今年から全部開示になりました。開示義務のない機関投資家の中にも、自主的に開示するところも出てきています。

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