「株主資本主義」以外の選択肢は存在するのか 永野健二氏と村上世彰氏が語る資本主義の今

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村上:孫さんは昔も今も相も変わらず投資家だと思います。私も自分のことを投資家だと偉そうなことをかつて言いましたが、孫さんこそが日本でいちばんの投資家なのです。孫さんは次から次へとチャレンジしています。

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少しだけ面白そうな話をしますと、私は孫さん名義のソフトバンク株を持っていたことがあります。かつてソフトバンクの作ったファンドがあって、そこのファンドを買いました。「運用がうまくいかなかったらソフトバンクの株で返します」というファンドだったのですが、孫さんの名義のソフトバンク株が手元に来ました。かように、孫さんは自分の保有株を担保に入れてでも挑戦するようなすさまじい投資家です。

永野:(ソフトバンクがサウジアラビアの政府系投資ファンドなどと最近設立した)10兆円ファンドが最大の問題だと思う。10兆円ファンドでソフトバンクのリスクを回避できても、世界の中の10兆円は限りなくフラクチュエイト(変動)している。

村上:それはマーケットが決めることではないでしょうか。また、サウジアラビアは2兆円を投じるけれど、これはサウジの投資資金全体からすれば大した金額ではないのでしょう。「IT関連にも張っておこうかな」っていう程度の感覚なのだろうと思います。2000年にIT関連に張っていた投資家は、ITバブルの崩壊を越えて、平均するとむちゃくちゃ儲かっています。

「孫さんは自分の保有株を担保に入れてでも挑戦するようなすさまじい投資家」と村上氏(撮影:今井康一)

バフェットか、それともアイカーンか

永野:村上さんは、IT関連など自分でわからない株には投資しないという点で投資家としてはウォーレン・バフェットに似ている。(割安株に投資するバリュー投資家の)バフェットは米国で好かれているが、カール・アイカーンは米国民に好かれていない。

村上:バフェットに似ていると言われると光栄です。ただ、私はアイカーンを尊敬しています。アイカーンの自分の信念に忠実に徹底して投資する姿勢に感動すら覚えています。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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