ワインの歴史変えた「1976パリスの審判」とは

仏VS米国、ワインがおいしいのはどっちだ?

だが、9人の審判が下した結果は、あまりに衝撃的だった。赤白とも、1位を獲得したのはカリフォルニア産のワインだったのである。

各10銘柄で赤の1位に輝いたのは「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」のカベルネ・ソーヴィニヨン1973(127.5点)。白の1位はシャトー・モンテレーナのシャルドネ1973(132点)。いずれも創業から間もないワイナリー(ワイン製造業者)だった。9人の審判は青ざめ、のちに長期間フランスのワイン業界から「白い目」で見られた専門家もいたという。

フランスは2度「返り討ち」にあった

この「パリスの審判」には続きがある。「フランスのワインは熟成してこそ真価を発揮する。一流のワインでも収穫年の若いワインだと不利だ」――。フランス側からこんなクレームがつき、「リターンマッチ」が10年後の1986年、30年後の2006年に行われたのだ。だが、その2度(赤のみで実施)とも1位はカリフォルニア産が獲得、フランスは「返り討ち」にあったことになる。

この一連の出来事が、いかにアメリカ産ワインの発展にプラスになったか。首都ワシントンD.C.にあるスミソニアン博物館には、「アメリカを形成した101の物」(=アメリカの歴史を築くのに最も重要な101点)
が展示されているが、そこには、アポロ月面着陸の宇宙服などとならんで、「パリスの審判」で優勝した前出の赤白のワインが並んでいる。

もちろん、産地も劇的な発展を遂げている。赤白で勝利したカリフォルニアのナパヴァレーには1972年当時、25軒ほどのワイナリーしかなかったというが、今では約500軒にものぼっている。

さて、この話にはさらに続きがある。「2度の返り討ち」にあったためか、2016年には「3度目のリターンマッチ」は行われなかったが、今年の5月24日、日本で有数のワインコレクターなどが主催する形で、東京都内で「パリスの審判」in Tokyoとして、「3度目のリターンマッチ」が行われたのである。

「3度目のリターンマッチ」と言っても、目的はフランス産とカリフォルニア産ワインの「ガチンコ対決」ではなく、あくまで「ワイン全般の発展を祝おう」という「ワイン飲み会」。

とはいえ、政財界やスポーツ界などのワイン通が顔をそろえたパーティに先駆けて行われた「第1部」では、1976年の「パリスの審判」をほぼ「再現」(カベルネ・ソーヴィニヨン種の赤ワインのみ)。9人の審査委員(フランス人、アメリカ人の専門家各2人、日本人5人)が当時のワインをブラインド・テイスティングした。

このうち、日本の5人は京都吉兆社長兼総料理長の徳岡邦夫氏、ホテル・ニューオータニ エグゼクティブ・シェフ・ソムリエの谷宣英氏、辻芳樹・辻調グループ代表、村田恵子・ワイン王国社長、民進党代表代行の江田憲司氏だった。

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