Nゲージ大手3社、価格・製品戦略は大きく違う

日本の「鉄道模型ビジネス」を学術的に考察

鉄道模型産業の実態を学術的にアプローチした(撮影:尾形文繁)

わが国の鉄道模型産業について、経済学からの学術的なアプローチは皆無である。鉄道模型は縮尺・軌間に応じてさまざまな規格があり、異なる規格の模型では互換性がない。

主要な規格は、O、HO、N、Zの4つに大別される。日本で最も普及している規格はNで、模型軌間は9ミリメートルである。欧州や北米ではHOが普及している。

歴史的な産業発展・技術発達の経緯、愛好家の嗜好などから、規格の標準化が進められてきた。こうした規格の存在から、鉄道模型市場は単なる愛好家の嗜好ではなく、鉄道模型産業として確立されてきた歴史的な経緯が読み取れる。

国内には約60事業者が存在

日本の鉄道模型市場では、N、すなわち「Nゲージ」と呼ばれる1/150スケールの鉄道模型が最も主力で市場の約80%を占め、次いでHOゲージ(16番ゲージ)と呼ばれる1/80スケールの鉄道模型が約20%を占める。また、この鉄道模型市場には、国内外のメーカー、個人事業者や愛好家サークルに近い事業者まで含めると60者程度が存在すると推定されている。

鉄道模型市場を構成する主要メーカーは、「KATO」ブランドで鉄道模型を製造している関水金属、「TOMIX」「ジオコレ」ブランドのトミーテック、「マイクロエース」ブランドのマイクロエースが主要3社で、この3社で約8割のシェアを占める。このほかには「GREENMAX」ブランドのグリーンマックスなどもある。

鉄道模型メーカー(以下、Nゲージメーカー)は、プラスチックや真鍮などの原料や塗料、附属する金属部品、模型に内蔵する超小型直流モーターをメーカー群から調達し、自社工場でプラスチックを金型で成形、もしくは真鍮などを成形し、必要に応じて塗色したうえで、超小型直流モーターや附属する金属製品を取り付けて、製品(商品)を完成させる。

Nゲージメーカーは製品を卸売業者に卸し、小売業者は卸売業者から製品を仕入れ消費者に販売する。これは、一般的な商行為の流れと同じである。ただ、主要Nゲージメーカーである関水金属とトミーテック、グリーンマックスは直販店を兼ねたショールームやストア を備え、消費者に直接販売する販路を持っているのが、この市場構造での特徴の1つである。

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