アウシュヴィッツで考える、麻生発言(中) 井の中の蛙が鳴く、”反日““自虐史観”の本質とは?

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簡単に予測可能な、櫻井よしこ氏の“意見”

言論界でも櫻井よしこ氏のように“従軍慰安婦は売春婦”“南京虐殺は大嘘”などと平気で繰り返す人々が、麻生氏の“ナチス発言”に関しても “全文を読めば麻生氏の真意は逆”などと、極めて苦しい擁護を試みている。

誰とは言わないが、真実と事実と倫理に対し無関心に見える評論家たちが、今日も元気に日本の若者を間違った方向に誘導している。

ちなみに、麻生失言擁護派は「麻生氏発言全文を読むと真意は逆」「読み手の読解力不足」「マスゴミのねつ造」と主張しているが、実際は事実や証拠を見る前から右派の麻生氏は擁護は決まっており、常に”結論ありきの情報取捨選択“に終始しているようだ。

たとえば櫻井氏に言わせれば、かつての戦争は自衛のアジア解放のための大東亜戦争、真珠湾はルーズベルトによる罠、南京虐殺は嘘で、女系天皇容認は駄目で、夫婦別姓は反対で、慰安婦はビジネス、沖縄集団自決に日本軍の関与無し、とそれぞれ独立しているはずの事象への彼女の“判断”がいとも簡単に予想できるのだ。

この手の評論家の方々の“歴史認識”は機械的に予測でき、例えば夫婦別姓に反対で南京虐殺は嘘だったという項目に〇をつける人は、重回帰分析をすればほぼ100%、慰安婦を単なる売春婦だと回答するだろう。

井の中の蛙が、日本の恥を世界にばら撒く

上で述べたような、独立した政治的・歴史的事象への反応を正確に予想できること自体が、いかに論理的で知的な情報収集と判断の結果でないかを物語っている。おまけに世界が狭く井の蛙同士で興奮して、アメリカの新聞(ニュージャージー州)に慰安婦問題の責任回避を意味するととられる広告キャンペーンを行い、米国世論の怒りに火をつけ日本の恥を晒してしまった。

櫻井氏タイプの評論家の方にお願いしたいのだが、慰安婦問題を“井の中の国内”で“反日国家によるねつ造”と狭小化して議論するのではなく、例えば親日で有名な台湾やオランダ、インドネシアの数多くの慰安婦からも同様の内容で訴えられてきたことなど史実の全体像を踏まえた上で、冷静に全体像を見て議論していただきたい(オランダの事例参考)。

検索すれば、旧日本兵の証言などもいくらでも出てくるが、いわゆる狭義の強制や広義の強制など様々な事例がある中で、大きなストーリーとして“植民地支配された、侵略を受けた国の女性が、侵攻してきた国の軍隊の性処理の犠牲者であった”という主要論点から枝葉の議論に逃げて、世論をミスリードしないようにしてほしい。

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