Jリーグ、経営危機からの反転攻勢が始まった 「ネット配信」が変革のきっかけだった

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地域ごとに最も集客が見込める時間に試合を組む(写真:Jリーグ)

一方、リアルで変わったのがキックオフ時間だ。テレビ放送と異なり、ネット配信なら試合がどれだけ重なっても問題ない。地域のイベントなどを考慮し、最も集客が見込める時間に試合を組みやすくなった。

54チームが利用できるプラットフォーム

クラブへの支援も加速する。現在、54チームが共通で利用できるプラットフォームを構築中だ。前述の動画配信に加えてチケット販売やグッズのEC(電子商取引)など、クラブが単独ではできない作業をJリーグ側が補完する仕組みだ。

4月にはEC分野で楽天と提携するなど準備が進む。今後は経理や法務などのサービス提供も視野に入れる。Jリーグが各クラブの間接部門を一手に引き受ける構想だ。

また、クラブへの配分金も大幅に増額した。若手選手の育成や夏季のリーグ中断期間に国際試合を増やすといった強化策も打ち出した。村井チェアマンは「リーグのトップチームが世界のクラブと互角に戦えるようにする」と意気込む。

ただ、新体制には不安もある。2月の開幕時には視聴トラブルが発生。ファンがいつでも安心して見られる再発防止策が必要だ。

また、Jリーグがパフォームと協力関係を続けるには、明確な成果が必要になる局面も出てきそうだ。スカパーの高田真治社長は「われわれはJリーグ放送を10年間かけて黒字にした。リーグの魅力を浸透させることはそう簡単ではない」と指摘する。結局は、クラブの基盤を充実させ、魅力的な試合をどれだけ増やせるかにかかっている。

一気に攻勢に出たJリーグ。10年にわたる改革はこれから本番を迎える。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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