「フランスの中道化」で世界情勢はまた変わる 米国と英国はもう頼りにならない

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だが欧州の主要国は今後、米国に頼れなくなる日がくることに備え、自分たちの権限を強めていこうと決断したようだ。これによって今後は、防衛に関する計画、物資調達、訓練をEU合同で行う機会が増えることが予想される。NATOは欧州と、米国や英国との関係をつなぐ「ツール」となる。だが、欧州の中心国は、必要な場合は単独で戦うという、より積極的な計画を立てていくことになるだろう。

他方、英国にとっては、この新たな流れが外交的な破滅につながるというリスクがある。

メイ政権はブレグジット交渉において、不必要に威圧的な態度をとっている。メイ首相は圧倒的多数で総選挙に勝利したいと考えていたようだが、もはやそうなることはなさそうだ。欧州で最も力のある政治家であるメルケル首相は、英国は米国やロシアと同じように、欧州の主要国が協力していく国ではあるが、頼ることができる国ではないと明言している。

マクロンとメルケルの世界に対する見方

これはブレグジットの悪い前兆だ。だがそれは、英国が欧州で何かをしようとした場合、その影響力が大幅に減ることも示唆している。

マクロン大統領とメルケル首相の世界に対する見方は明確になった。ロシアは脅威である。彼らは自国民の多くが米国の大統領はお笑いだと考えていることを知っており、彼と対立することで大きな政治的評価を得ることができる。ブレグジットが英国にとって破滅をもたらすと請け合うことも、その戦略に当てはまるかもしれない。

それらはすべて理解できることであり、刷新された欧州の自信が良い結果をもたらす可能性はある。だがそれは同時に新たな不確かさへの扉を開くことにもなる。

トランプ大統領が再び欧州を訪問することがあれば、そのときは今回以上の嵐が吹き荒れるかもしれない。

著者のピーター・アップス氏はロイターのグローバル問題のコラムニスト。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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