「内定承諾書」を書いた後の辞退は可能か?

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ただし、労働契約の場合、労働契約の期間、就業場所および従事する業務、始業および就業の時刻、所定時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制の場合の就業時転換、賃金、退職等に関する事項を、労働条件通知書等の書面の交付によって、明示しなければなりません。

「内定承諾書」はこの労働契約を補完する書面にすぎないと解され、労働契約以上の特別な効力があるわけではありません。

もっとも、企業側は内定者を引き止める心理的効果や企業内部での手続きのために内定承諾書を書かせ、「承諾書を書かなければ内定を出さない」という場合もあります。しかし、内定承諾書を提出したとしても、法的にはその企業に就職しなければならないわけではありません。

内定者からの辞退は拒否できない

日本国憲法22条1項では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と職業選択の自由を保障しています。

労働基準法5条では「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」と強制労働を禁止しています。

この趣旨からして、内定者からの辞退を企業が拒否し、拘束することはできません。新卒の就活で複数企業の内定を取得し、その中の1社を選択することは社会通念上、認められているともいえます。

労働契約を終了するときも、労働者および使用者が合意するのが一般的です。ただ、民法では期間の定めのない契約ではいつでも解約の申し入れをすることができると定められ、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了すると、労働者側からの労働契約解約の自由が保障されています。

新卒採用の契約は通常、期間の定めがないため、労働者側から一方的に労働契約を終了でき、解約の理由も問われません。内定も労働契約である以上、この規定が適用されることになります。

なお、使用者側からの解約については判例によって解雇濫用法理が積み重ねられ、労働契約法16条でも「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と明文化され、解約の自由が制限されています。

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