藤野:ただ、やはりバランスだと思うのですよ。この間、三浦展さんという方が書いた『下流老人と幸福老人 資産がなくても幸福な人 資産があっても不幸な人』という本を読んだのですが、タイトルにもあるように、幸福はおカネで測れるものではないという話です。幸せな人は、家族や社外人脈、参加できる場、いろいろな世代の人との接点を持っている。逆に、いくらおカネを持っていても、こうした人との関係がないと、幸せになれない。なかなか考えさせられます。
中野:投資教育家の岡本和久さんは、「6つのフ」という話をしています。ファミリー(家族)、フレンド(友人)、フィットネス(健康)、ファン(趣味)、フィランソロフィー(社会貢献)、ファイナンス(おカネ)。この6つがそろっている人生は幸せだということです。50代に入ったら、この辺を意識しながら、自分の後半生をどうするか、しっかり考える必要があります。
「自分は冴えないサラリーマン」だと受け入れられるか
藤野:でも、20代から30代、30代から40代というのは、特に何も思うことはなかったのですが、40代から50代になるのは、ちょっと嫌でしたね。なんかこう、受けいれたくなかったという感じがあったのですよ。
中野:歳を取るのが苦ではないのは40代まででしょう。
藤野:正直、49歳と50歳の意識の差がとても大きかった。
中野:それは、人生の折り返しを意識したということですか。
藤野:そう。「ターンしたんだ」という実感ですね。人生、20歳までは準備期間でしょ。で、80歳までは何とかクオリティ・オブ・ライフを維持できるとして、その年数が60年。その半分は30年だから、20歳からの30年で50歳。そう考えると、いよいよ折り返し地点に差し掛かったと意識せざるをえません。
渋澤:いよいよカウントダウンが始まったと考えるか、それともまだ半分もあるじゃないかと考えるか。それによって意識の持ち方も変わると思います。
中野:死ぬときに気持ちよく死ぬための棚卸しをする年代なのでしょうね。
渋澤:30代の頃はまだいろいろな意味で可能性がありますが、50代は「自分はこうなんだ」ということに気付く年代ともいえます。だから、「6つのフ」に加えて「1つのキ」でしょうね。
中野:仕事に関して言えば、50歳になった時点で夢もロマンもない。自分を客観視して、「自分は冴えないサラリーマン」であることを受けいれる必要があります。ここは結構大事な気付きでしょう。
渋澤:手厳しいですね~(笑)。
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