トヨタも注目!半導体「エヌビディア」の哲学 ゲーム用チップがAIの立役者になった理由
知的に誠実であれ――。技術が常に変化する中で、自社の戦略も絶えずチェックし、見直す必要がある。欠かせないのが、他者からの批判を受け入れる開かれた姿勢だ。「もし何かがうまくいっていなければ、われわれはすぐに変化し別のやり方に挑戦することができる」と、エヌビディアで国際営業を統括するジェイ・プーリ副社長も語る。
エヌビディア社内では、「失敗」も新たな挑戦に必要なものとして受け入れられる。プーリ氏によれば、フアンCEOも「君が失敗したプロジェクトにはかなりのカネを投資した。君をクビにするようなことだけはしたくない。その失敗から学んだことを生かしてほしい。だから別のプロジェクトを君に任せる」といった言葉を社員にかける。
「エヌビディア社内で責任のあるポジションにつく人間はしばしば、何かに挑戦して失敗したことのある人間だ」(プーリ氏)
光速と自分を比較せよ――。仕事を早くこなせ、という意味ではない。エヌビディア社内における「光速」とは、光より速いものは存在しない、ということから「究極」を意味する。プーリ氏は「多くの企業が競合他社と自社を比較する。われわれは究極と自分たちを比較する」と話す。
完璧な仕事が求められる
周囲の環境が目まぐるしく移り変わる中で、競合他社のやり方をまねたり、過去の成功法を踏襲したりしても当初の目的が達成されるとは限らない。どのような目的で何を成し遂げようとしているのかという大原則に立ち返り、完璧の状態を目指すことがエヌビディア社員には求められる。
プーリ氏は「そうすることで、現在の環境のもとでの最善の計画を作り上げることができる。競合の動向や、競合に対してわれわれがどれだけ先行しているかは重要ではない」と解説する。
こうした経営哲学を実践してきたからこそ、エヌビディアは激動の半導体業界を生き抜いてきたといえる。
AIに注力する中で、現在は社内の技術者数も半導体などのハードウェア分野よりもソフトウェア分野のほうが多くなった。「半導体大手」という枕詞はもはやその実態にそぐわなくなりつつある。今もそれだけ、変化し続けているということだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら