トヨタも注目!半導体「エヌビディア」の哲学 ゲーム用チップがAIの立役者になった理由

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そんなカリスマ経営者が大事にするのが、以下の3つのような経営哲学だ。

「Be a learning machine (学び続ける機械であれ)」

「Be intellectually honest (知的に誠実であれ)」

「Measure yourself against the speed of light (”光速”と自分を比較せよ)」

フアン氏は日々、社員に対して口を酸っぱくして言い聞かせている。

学び続ける機械であれ――。半導体業界は極めて変化の激しい業界だ。家電、パソコン、スマートフォン、自動車と次々に主戦場が移り変わる。つねにアンテナを張り巡らせ、世の中の技術トレンドを追い続ける必要がある。

平社員でも経営陣にレポートを届ける

深層学習の技術開発にシフトしたことが、今回発表したトヨタ自動車との提携につながった(記者撮影)

エヌビディアにはこれを可能にする極めてフラットな情報共有手法が存在する。全社員が隔週で、業務レポートを1万人の全社員宛てにメールで送信する、というものだ。役職の位が低い社員のレポートであっても、フアン氏を含む経営陣のもとに直接届けられる。経営陣はそれらすべてに目を通しているという。

エヌビディアがAI、とりわけ深層学習の技術開発に注力するようになったのも、実はこの制度がきっかけだ。

「GPUが米国トップ大学のAI研究で使われているらしい」。複数の営業担当社員がこのようなレポートを共有すると、フアン氏の目に留まった。すぐさまフアン氏は、メールを全社員に送った。「Swarm deep learning(深層学習に群がれ)」。

深層学習に大きな商機を見出したフアン氏は、即座にエヌビディアの新たな中心事業と位置付け、経営資源を集中させた。それが今のエヌビディアの成功につながっている。

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