選びきれない、でも自分で決めたい消費者 なぜ、日本人はモノを買わないのか?【最終回】

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消費者にとって、ブランドとは単なるステイタスではなく、「ここのものを買っておけば間違いがない」「さほど外したファッションにはらならない」という保証と、「好みのものが見つかりやすい」というテイストによる選択肢のスクリーニングをかけてくれるものに変わりつつあるのである。

ブランディングをする側からいえば、消費者に対してどのような約束をするかということが非常に重要になる。安心・信頼のブランドとして品質保証をしていくのであれば、その裏付けとして、誠実な企業活動を行っていることや、多くの人に支持されていることを打ち出していく必要があるだろう。

一方、テイストによるスクリーニングを提供しようとするのであれば、消費者に対してより明確なブランドの世界観を打ち出していく必要がある。たとえば、ユナイテッドアローズはセレクトショップというその業態から、バイヤーの目利きによる仕入れに自社開発製品を加えながら、品揃えの独自性を強く打ち出しているファッションブランドグループであるが、年々縮小を続けるアパレル小売市場の中で、安定した成長を続けている。

ブランドを重視する意識は、年々高まる傾向にある。生活者1万人アンケートによれば、「無名なメーカーよりは有名なメーカーの商品を買う」と答えた人の割合は、2000年の32.9%から各回ごとに増加し、2012年には47.3%に達している。

消費者にとってブランドの持つ意味を再定義し、オススメとしてうまく活用していくことが、これからのブランディングに求められているといえよう。

松下 東子 株式会社野村総合研究所シニアプリンシパル

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まつした もとこ / Motoko Matsushita

1996年東京大学大学院修了後、野村総合研究所入社。以来、一貫して消費者の動向について研究し、企業のマーケティング戦略立案・策定支援、広告・プロモーション効果測定および広告戦略策定支援、ブランド戦略策定、需要予測、価値観・消費意識に関するコンサルテーションを行う。
また、日本人の意識と行動を実証的に分析・提示する「NRI生活者1万人アンケート調査」(1997年~)を担当。共著書に『日本の消費者はどう変わったか?』(東洋経済新報社、2022年)、『Z世代コミュニケーション大全』(東洋経済新報社、2025年)などがある。

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