セブンドリーマーズが追加資金調達で描く道 洗濯物折りたたみ「ランドロイド」の次は?

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――クリアできないアイデアの割合は?

1つ目の基準「 世の中にないモノ 」をクリアできない割合は98~99%です。テーマを探し始めたのが2003年で、14年間テーマを探し続けていますが、クリアしたものは既存の3つの製品(「ランドロイド」「カーボン・ゴルフシャフト」「ナステント」)を含めて計5つしかありません。

私だけでなく、基本的には社員の方からアイデアを募って、「思いついたらいつでも言って欲しい」と伝えています。最近は、当社が世の中にないものを作り出すということが少しずつ浸透してきているので、外部の方からメールが来て「アイデアを提供しますから、ぜひ作って欲しい」という話をいただいたりします。

しかし、思いついては却下、却下……。誰かが論文一枚でも書いていたら、1つ目の基準をクリアできませんから。

シーズではなく、必ずニーズから考える

――そこまで厳格な基準だと、テーマを見つけることの難易度は飛躍的に上がりそうです。

阪根信一(さかね しんいち)/セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社長。University of Delaware(米国)にて化学・生物化学科専攻 博士課程終了。Glenn Skinner 賞(博士課程最優秀賞)受賞。2008年7月、FRP専業メーカーのスーパーレジン工業社長に就任。2014年には、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズを設立。ほかにNPO法人「icetee(1999年設立)」の代表を務めるなどボランティア活動にも精力的に取り組んでいる(撮影:梅谷秀司)

決してやってはいけないことは「当社にはこういう独自技術がある。その技術を活用して商品展開しよう」という発想です。全自動洗濯物折りたたみ機「ランドロイド」は、柔軟物を認識する人工知能ロボットですが、「この技術のタネをどこに応用展開するんですか」とよく聞かれます。でも、正直そんなことは考えていません。今持っている技術の中で商品開発を目指すシーズ発想ではダメなんです。

社内の技術を応用展開する発想は大企業では普通だと思います。しかし、そうした考えで進めると、商品化しても売れないことが多い。既存のリソースを使うと、一見効率がいいように思えますが、その考え方ではイノベーションが起きにくい。市場で受け入れられる確率も低くなると思います。

我々は、あくまでニーズから厳しい基準をクリアしたものを見つけ、分野を問わず色々なことに挑戦してイノベーションを起こすことにこだわる。ニーズから考えてテーマを発見すれば、技術ができあがりさえすれば絶対に売れるし、「世の中にないモノ」になるので他社との競争もありません。

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