OPECと米シェール業界、共存の道模索へ対話 当初の「互いに無視状態」から歩み寄りの姿勢
[ウィーン 26日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)と米国のシェールオイル業界が、互いをあえて無視する当初の状況から激しい対立を経て、共存に向けた話し合いを始めている。
2つの業界が共存できるのか、それとも近い将来に新たな対立が始まるのか、互いの理解を深めるために25日のOPEC総会には米国のシェール業界に投資する銀行関係者らが招かれ、OPECは米テキサス州へ当局者らを派遣する準備を進めている。
サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は「われわれは共存しなければならない」と語った。同相は昨年末のOPECの減産を主導し、可能な限り生産を増やして価格競争を仕掛け、米シェール業界を消滅させようとするサウジの当初の戦略を転換した。
OPECとロシアなどの産油国は25日の総会で、減産を来年3月まで9カ月間延長することを決定した。
今回の総会では、これまでほとんど言及されなかったシェールが主要議題となった。
エクアドルのペレス・エネルギー相は「(シェール)がどの程度の影響を及ぼすかについて議論した」と明らかにした。その上で「われわれは米国がすることをコントロールできない。継続するか否かを決定するのは彼ら次第だ」と語った。
米シェール生産会社センテニアル・リソース・デベロップメント<CDEV.O>のマーク・パパ最高経営責任者(CEO)は、シェールの可能性について総会でプレゼンテーションを行うよう依頼されたが、手の内は見せなかったようだ。
ベネズエラのマルティネス石油・鉱業相は、総会後に「脅威という点では、(米シェールが)近い将来にどの程度もたらすかはまだ分からない」と語った。
OPECと同様に、米シェール業界の幹部らもOPECの考えについて理解を深め、シェールの成功が一時的でないことをOPECに理解してほしいと感じているようだ。
総会に初めて出席した米シェール業界に投資する投資銀行チューダー・ピッカリング・ホルトのデーブ・パーセル氏は「OPECはシェール業界を見て、冷笑を浮かべている」と指摘した。
一方、OPECの顧客の一部はシェールという選択肢を前向きにとらえている。世界3位の石油消費国インドは、米国からの供給拡大に期待を寄せており、同国のプラダン石油相は総会前に「ニューノーマルを受け入れなければならない」と述べていた。
OPECは再度生産枠を見直すため11月に総会を開催する。ほとんどの加盟国はシェールとの調整が必要との考えとみられるものの、近い将来に新たな対立を見込む向きもいる。
ナイジェリアのカチク石油資源相は「シェール生産会社による意図的な市場妨害行為によって、われわれが不満を募らせる事態に至れば、OPECはあらためて必要な措置を検討する」と述べた。
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