連休前後に慌てて日本株を売る必要はない いま個人投資家が注視すべき指標とは何か
世界の株価が堅調だ。米国によるシリア空爆をきっかけに、地政学リスクが急速に高まり、北朝鮮情勢緊迫化でピークを迎えた。しかし、米国の圧力もあり、市場の不安心理は後退。懸念されていたフランス大統領選の第1回投票の結果も市場に安心感を与えた。5月1日の日経平均株価も、前月末比113円高の1万9310円で終了した。
企業業績は堅調、今は「売りの必要」はない
筆者は4月13日のコラムで「北朝鮮リスク」は、ズバリ「買い」の局面だと指摘したが、今回の不透明感を背景とした株価の下落局面で、安値を売ってしまった投資家も少なくないだろう。それはもったいない判断だったことになる。トムソン・ロイター社によると、S&P500構成銘柄の第1四半期の利益は前期比11.4%増となり、2011年以来で最も大幅な伸びになる見通しだ。この状況で「漠然とした不安材料」を背景に株式を手放すことは賢明ではなかったということである。株価形成の本質は、企業業績の実績と将来への期待にある。この点を理解していれば、少なくともいま安値で株式を手放す必要はなかったといえるだろう。
これは日本株にもいえる。「リスクオフ」ムードで安全資産と認識されている円が買われ、円高基調が強まりつつあった。ドル円は1ドル=108円台に入り、重要なチャートの節目にさしかかるなど、トレンド転換の極めて重要な水準にまでドルが下げていた。
つまり、「円高→日本株には売り材料→上昇トレンドの終了」という可能性も完全には否定できなかった。しかし、一方で企業業績は堅調であり、騰落レシオ(上昇銘柄を下落銘柄で割った値、25日間の移動平均などで見るのが一般的)は、4月17日には売られすぎとされる70%を割り込み、68%にまで低下していた。
また、筆者が重視している6日平均の騰落レシオはそれよりも前の4月6日には32%という異例の水準にまで低下していた。企業業績が決して悪くないのに「下げているから」といって保有株を手放すことは、最もやってはいけないことだ。筆者は先月のような局面こそ、保有株は売らず、買い増すべきときだったと考える。実際、こうした投資行動には勇気もいるので、なかなか難しい。だが、冷静な判断で買い向かう投資家が成果を上げることができる。今回のような売られすぎになることは毎年何度もあることではない。だが、将来再びこうした機会があれば、ぜひ今回のパターンを思い出して、行動に移すとよい。
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