連休前後に慌てて日本株を売る必要はない いま個人投資家が注視すべき指標とは何か
前回の本欄でも書いたとおりだが、北朝鮮の核攻撃の結末や、シリア情勢の行方を悲観的に考えたところで、普遍性のある投資アイデアは出てこない。結局は、地に足を着けて、株式であれば成長期待がある割安株を見つけ、それに一定程度の期間、投資することが肝要である。一方で、リスクヘッジのため、一定量の金を保有することも重要である。常々言っていることだが、資産の10%は金を保有しておきたいというのが筆者の考えである。短期のトレーディングに執心する投資家なら別だが、資産運用という観点でいえば、つねに長期的視点を忘れず、目先の本質的ではない材料に振り回されないようにすることが肝要だ。
この点でいえば、米国株の魅力は当面まったく低下しないだろう。筆者は過去の長期上昇局面が繰り返されると考えており、2029年に向けて、NYダウ平均は現在の水準から3倍近くまで上昇するとみている。突拍子もない見方と言われればそれまでだが、米国企業の成長力はそう簡単に低下しない。それを信じるか信じないか次第である。
また、金価格もかなりの水準にまで上げていくとみている。特に2019年から2022年ごろに大きな相場が示現するとみている。金利は当面下がることはなく、上昇するしかないだろうが、金利のつかない金がドル安を背景にそれ以上に上昇すると考えている。またインフレ傾向も金相場を押し上げるだろう。いずれにしても、金は手放してはならない重要な資産であり続けるはずだ。
原油相場が回復するには時間が必要
問題なのは、原油相場である。いまだに1バレル=50ドル前後をうろうろしている。投機筋が高値で買い、安値を売っていることが、原油価格の水準が切り上がらない要因である。また、市場が将来の需給逼迫をイメージできていないことも大きく影響している。原油相場は米国の株式市場にも影響を与えることから、その動向にはつねに注意を払う必要がある。
米国のシェールオイル増産懸念は根強く、これを凌駕するほどのOPEC加盟・非加盟国の減産が不可欠といえる。米国で増産される以上に減産が行われれば、需要は増加していることから、計算上の在庫バランスは改善するはずだが、ロシアは協調減産の延長に慎重な姿勢を見せており、年後半も主要産油国による減産が実施されるかは不透明だ。
だが減産を実施しなければ、市場は失望し、原油相場は下げることになる。そうなれば、すべての石油生産者にとって不幸な結末を迎えるだけである。こう考えると、減産継続以外に選択肢はない。市場はまだこの点をまったく念頭に入れていない。だからこそ、原油価格が50ドル前後で低迷しているといえる。この水準では長期的に持続できないことは明白なのだが、市場参加者全体がそうした考えに向かうには、一定の時間がかかりそうだ。原油関係に投資するなら、当面は、株式などのリスク資産への投資を中心に考え、現在の安値を利用してポジションを積み上げながら、反発を待つのが賢明だと思う。
いずれにしても、目先の材料で判断せず、中長期的な視点で判断することが重要だ。特にいまのような市場環境では、こうしたスキルが求められる。
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