高級ブランドが頼る縫製工場イワサキの秘密 高度な技術を学べる職場に就職希望者殺到

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創業は1947(昭和22)年。「繊維業は、人材が決め手。人材確保に知恵を絞ってきました」(岩崎会長)。1970(昭和45)年に、社員の技術訓練向上のため、大阪府知事認可の「岩崎洋裁高等職業訓練校」を開設しました。社員90人のうち、訓練校の生徒は女性を中心に約50人に上ります。社内にはさらに、なにわの名工、特殊洋裁技能士、職業訓練指導員免許取得者など縫製の強者(つわもの)たちもそろっています。

こうした先輩たちの手ほどきを受けた卒業生は、5年から10年勤務した後、円満退社して全国に散り、日本の縫製技術を陰で支える存在になっていきます。卒業生は1000人近くになり、自分のオリジナル・ブランドを立ち上げたり、海外に進出する人も出てきているそうです。「各地の工場で、指導者的存在になってくれています。全国の同業者の中でうちの技術が活きているのは嬉しいことです」(岩崎会長)。

営業マンがいなくても注文には困らない

工場風景(筆者撮影)

評判を聞いて同業者も見学に来ますが、大きな社員寮や大量のミシンを見て、皆さん「うちはマネでけへん」と言われるそうです。他所ができないことをコツコツと地道にやってきた成果が、優秀な人材の確保に繫がっているのです。

「うちには営業マンはいません。みなFAXで注文が来ます。品質が良いので、こちらから営業しなくても注文が入るのです。業界が認める高い技術力が、そのまま営業力となっています。高級な服を作るには、それを作れる人材が必要です。服を作る前に、まず人をつくらなければいけません」(岩崎会長)

この岩崎会長の思いが、手厚い社員教育に活かされ、人材確保に繫がっています。日本の優れた縫製技術は、こうした中小企業の地道な努力に支えられているのです。

なお人材開発の取り組みが評価され、岩崎会長は現在、大阪府認定職業訓練校運営協議会の会長を務めています。岩崎会長の長年の経験が、なにわの中小企業の社員教育そして人材確保に活かされることを願っています。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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