高級ブランドが頼る縫製工場イワサキの秘密 高度な技術を学べる職場に就職希望者殺到

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種明かしをすれば、人気の秘密は、社内に設けられた職業訓練校と、本社工場に隣接する社員寮にありました。

こちらの会社に就職すると、洋裁が学べるうえに給料がもらえ、さらに安い社員寮に入って縫製の国家資格にも挑戦できるのです。1、2級洋裁士、洋裁技能士、洋裁技能士補、中には特級を取得する社員もいます。こちらの社員は、挑戦した資格でほぼ100%の合格率を誇っています。

工場内には特殊ミシン150台

特殊ミシン(筆者撮影)

主な縫製は、ブランド高級婦人服。皆さんもご存じの有名ブランドの難しい縫製を担当しています。事務所に展示してあったワンピースはお値段8万3000円、清涼感のあるブルーのドレスはなんと14万円でした。こうした高級婦人服を作るには、それに見合う確かな縫製技術が求められるのです。

まず、OJTです。工場内には特殊ミシン150台がずらりと並んでおり、千通りの縫い方ができます。日本製とアメリカ製のミシンを使い分け、キレイな花柄の網目模様を編むなど、さまざまな縫い方を経験して技術を高めます。

また有名ブランドの縫製技術習得には、高級生地での訓練が欠かせません。1メートル3万円のカシミアがあります。カシミアはアイロンがけの時、蒸気の加減でシミができやすいそうです。その微妙な調節を工場内で出る端切れを使って習得できます。シルクも難しい素材です。やわらかくてシワになりやすいのですが、それをキレイに仕上げる技術も端切れで日々練習できます。

イワサキ本社(筆者撮影)

さらに、工場内には教室も整備され、学科研修も受けられます。大阪府知事認定の単独事業内職業訓練校です。授業は週3回。勤務時間前後の朝1回と夜2回受けられ、年間で400時間が受講できます。

そして工場隣接地には工場よりも大きな女子寮2棟、検査工場の上に男子寮1棟も完備しています。バス・トイレ・冷暖房付きのマンション風個室が約100室。なんと、朝昼晩3食付きだそうです。職住接近で、仕事と縫製の勉強がいつでも可能です。仕事場では、先輩社員がそばで具体的な指導をしてくれます。高度な縫製技術を学ぶ職場環境が整っているのです。

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