横浜生まれスリーエフ、「単独店消滅」の黄昏 38年の歴史に幕、ローソンとの共同店舗に

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ブランド転換に当たり、スリーエフとしての商品開発機能などが不要となる。そこで同社は人員のスリム化を図るため、約180人の希望退職を7~8月にかけて募集する。パートを除く正社員と契約社員が対象で、全従業員の6割に相当する。退職者には特別一時金を支給するほか、希望者に対しては再就職の支援も行う。

2018年3月以降はスリーエフとローソンの合弁会社であるエル・ティーエフが「ローソン・スリーエフ」の店舗運営を行う。スリーエフとしては店舗の経営指導を行う営業活動が主たる業務となる。現状エル・ティーエフの出資比率はスリーエフ70%、ローソン30%だが、来年3月以降はスリーエフが51%に低下し、ローソンが49%となる。

10年後、「スリーエフ」は残るのか?

山口社長は「スリーエフ」という名前を残すことに強いこだわりをみせ、結果的に看板に名前は残った。しかし、店内の商品約3500のうち、スリーエフの独自商品は30品のみ。

スタッフはローソンの制服を着用。店舗は一見、ローソンにしかみえない(記者撮影)

ロードサイドの看板や、従業員の制服もローソンのものを使用しており、実質的にはローソンの店舗といった印象が強い。さらに、FC契約もローソンのものを適用した。本部と加盟店の契約期間は10年だ。

「ローソン・スリーエフ」が将来的にローソンに一本化される可能性について、スリーエフ側は真っ向から否定する。とはいえ、ローソン側からみれば、一部の店舗向けに独自商品を開発するなど別ブランドを展開するのは非効率な面もある。契約が切れる10年後にはブランド一本化が議論される可能性が大きいだろう。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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