パントマイム歴40年の男が説く「やりきる力」 情熱はすべてを動かす原動力になる
カンジヤマ・マイムの「おしゃべり」の秘密
――心を掴む、「おしゃべりなパントマイム」が好評です。
藤倉健雄氏(以下藤倉氏): カンジヤマ・マイムは、現在ぼくAのほか、B、Cと3人のメンバーで、全国各地の学校、文化会館、病院、その他養護施設などさまざまな場所に呼ばれてパントマイム公演を行っています。少ない月で7〜8本、多い月でほぼ毎日、どこかに出かけています。
長らく、パントマイムとは、「無口、白塗り、大道芸」というイメージが定着し、どこか普段の自分たちとは「違う」世界と思われがちでした(もちろんそうした世界観も魅力のひとつなのですが)。しかし、パントマイム芸能の幅広さ、面白さをもっと多くの人に知ってもらいたい、身近に感じてもらいたいと、ぼくたちは沈黙を破り、舞台の上でしゃべりはじめました。
パントマイムに必要なのは、「自分の内なる独自性」を発見し、表現することです。ぼくたちはつい、自分に足りないもの、欠けているものに目がいきがちですが、すでに身体という素晴らしいものを持っています。足りないものは何もない。ただ自分が持っているはずの宝、身体と想像力による独自の可能性を掘り出しさえすればいいんです。マイムという「鏡」に映った、自分の内なる可能性を掘り起こし、そうして生まれる自己表現を、自分の好きな分野に利用することができるところに、パントマイムを演じる魅力はあります。