米海軍が関心寄せる、“究極"の人材活用術 軍事ミサイルが手本?ジャスダック上場の日本通信が考案

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片山常務は日本通信全体の人材戦略を担当する。看護師としての勤務経験も持つ

また、システムを統括する片山常務も、全体のバランスを見ながら調整を加えていく。片山常務が重視するのは社員の多面的な成長だ。特定の業務に集中し過ぎた場合は、次の枠で別の業務を担当させるなど、できるだけ多様な経験を積ませるようにしている。クルーシステムは優先度の高い業務に人員を集中させるだけでなく、全社の業務をくまなく知ることで、ビジネスの問題点やヒントを見つけ、日々の業務改善に生かしてほしい、そんな狙いがあるからだ。余談ではあるが、海外が長く、日本語が苦手な三田社長がチェックするため、オーダーはすべて英語で提出されるようになったという。

業務の責任者は2時間の枠ごとにクルーの働きぶりを評価し、フィードバックする仕組みになっている。毎日、ほぼリアルタイムで評価がフィードバックされることで、クル-は自分の仕事の何がよかったのか、もしくは何を改善するべきかがすぐにわかる。できなかった点は反省し、次の枠から見直せばいい。「いつでも軌道を修正して、挽回できるチャンスがあるようにしている」(片山常務)。

当初は、エンジニアなどから「なんで関係のないコールセンターの仕事をやらなければならないんだ。専門知識が身につかないじゃないか」といった批判の声も上がった。これに対し、経営陣は全社員が参加するミーティングなどで、最先端の技術だけでなく営業やユーザー支援まで、幅広い知識を持つエンジニアを求めていることを説明。また、社員が多くの業務を経験し、多方面で成長することが会社の成長につながる、ということを繰り返し伝えていったという。

効果は着実、各業務が迅速に

システム導入後、1年程度は現場の混乱もあったが、効果は着実に現れ始めた。フレキシブルな人材配置によって業務のスピードが早まり、リリースする新サービスの数は大幅に増えた。製品出荷の急激な増加も、システムを駆使することで乗り越えた。経営陣も業務のムダを早期に把握し修正できるようになった。人事評価でも、日々の積み重ねによって、さらに客観的なものに変化している。業績面では、同社は11年3月期まで5期連続の営業赤字だったが、12年3月期には通期で黒字化を達成した。三田社長は「クルーシステムがなかったら、今の日本通信はない」と断言する。

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