東芝、半導体売却まで黄信号が灯る最悪窮状 監査法人に続き半導体合弁相手とも対立激化

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正式な決算短信はいつ出せるのか。6月末には有価証券報告書も提出しなければならない。監査報告書自体がないと有価証券報告書の法定要件を満たせず、上場廃止基準に抵触してしまう。

有価証券報告書の作成ができなければ、過去に繰り返したように提出期限の延長申請という手法もある。もしくは「意見なし」の監査報告書で強行突破できないこともないが、上場維持の審査を行っている東証もさすがに甘い対応ができなくなる可能性がある。

ウエスタンデジタルが半導体売却に”待った”

ここにきて、債務超過の解消のために東芝が進める半導体メモリ事業の売却の行方も見えなくなってきた。メモリ工場を共同運営する米ウエスタンデジタルとの対立が深刻化しているからだ。

東芝はメモリ事業を分社して作った東芝メモリに合弁会社の株式を移転し、東芝メモリごと売却する方向で入札を実施中。一方、ウエスタンデジタルは、ウエスタンデジタルの同意なしに合弁会社の株式を譲渡することは契約違反と主張してきた。

綱川社長は「合弁契約に抵触する事実はない」と語気を強めた(撮影:尾形文繁)

東芝はウエスタンデジタルの主張に法的根拠がないと反発。東芝メモリの売却を妨害することを止めるように警告文を送付したほか、四日市工場でウエスタンデジタル社員がデータにアクセスすることを制限する可能性にも言及した。

ウエスタンデジタルも黙っていなかった。5月15日、国際仲裁裁判所に東芝メモリの売却差し止めを申し立てたのだ。

綱川社長は「合弁契約に抵触する事実はなく、プロセスを止める根拠はない。東芝の主張の正当性を説明して(買い手の)懸念を払拭する」と強調した。

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