東芝、半導体売却まで黄信号が灯る最悪窮状 監査法人に続き半導体合弁相手とも対立激化

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5月15日、記者会見に臨む東芝の綱川智社長。暫定値の「業績見通し」では不安の払拭につながらなかった(撮影:尾形文繁)

東芝の経営をめぐる混迷がさらに深まっている。

5月15日、東芝は2017年3月期決算について、当期利益が9500億円の赤字、株主資本が5400億円のマイナスに陥ったと発表した。

米国の原子力事業子会社ウエスチングハウスの破産法申請に伴う損失が膨らんだためだ。だが、4月11日時点で当期利益が1兆0100億円の赤字になる見通しと公表済み。損失額自体にサプライズはない。

埋まらない監査法人との溝

東芝は苦しい立場にある。それは、今回の決算が監査法人の承認が得られない、暫定値の「業績見通し」であったことからもわかる。2016年4~12月期に続き、監査を担当するPwCあらたからお墨付きは得られなかった。

綱川智社長は「こうした事態になったことを改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪し、「独立監査人と協調して早期に決算を終わらせることに全力を挙げる」と述べた。

もっとも東芝とPwCの溝は埋まっていない。PwCが問題視しているのは、2015年末にウエスチングハウスが実施した米国の原発建設サービス会社の買収に伴う損失の計上時期である。

東芝は2016年10~12月期に初めて損失を認識したと主張しているが、PwCはその説明に納得しない。「PwCはなぜ意見を出さないのか。理由すら聞かされていない」と東芝幹部は不満を募らせる。

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