今回の調査における特徴は0%、プラス1%、プラス2%のそれぞれのインフレ率について、個人の選好を調査したことである。
これらの回答分布について、「好ましい」という回答は「自分の家計にとって」は「0%>1%>2%」という順番で回答比率が高く、「日本経済にとって」は「1%>2%>0%」という順番で回答比率が高かった。ここで分かることは、「自分の家計にとって」も「日本経済にとって」も「1%>2%」となったということである。総合的に考えてインフレ率はプラス2%よりもプラス1%のほうが好ましいと考えている個人が多いということである。
一般の人々の物価に対する見方を調査するものとしては、日銀の『生活意識に関するアンケート調査』がある。この調査では1年前と比べて物価が「上がった」もしくは「下がった」と回答した人に対して、それぞれ好ましいかどうかを継続的にまとめている。2017年3月調査では、1年前と比べて物価が「上がった」と答えた人にその感想を聞くと、約8割の人が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答した。ここでも物価上昇に対して否定的な人が多いことが示されているが、回答者がどの程度の物価上昇をイメージして答えているかについてはわからず、「1%のインフレは好ましいが、2%を超えると困る」というような微妙なニュアンスまでは測ることができなかった。
今回の調査では、「自分の家計にとって」と「日本経済にとって」はどちらが重要なのか、という問題はあるものの、いずれにしても「1%のほうが2%よりも好ましい」と考えられていることが明らかとなった。日銀が目指すプラス2%のインフレ目標の正当性は個人に理解されていないとみられる。
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