今回の調査結果では、「自分(回答者)の家計にとって好ましい物価環境」は「物価が毎年下がること」(デフレ)との回答が多く、日銀が目標とする「毎年2%ずつ上昇すること」は「どちらかと言うと好ましくない」との回答が最も多かった。また、回答者が考える「日本経済にとって好ましい物価環境」についても「毎年1%ずつ上昇すること」が最も肯定的に捉えられた。もっとも、日本経済についてはイメージがあまりないためか「どちらとも言えない」との回答も多かった。詳しく見てみよう。
今回の調査で分かったことの1つは、個人が考える好ましい物価環境は「自分の家計にとって」と「日本経済にとって」では大きく異なるということである。
特に、物価が「毎年下がること」に対する回答分布はまったく異なる結果となった。「自分の家計にとって」は好ましいという回答が多く、「日本経済にとって」は好ましくないという回答が多いという正反対の結果が得られた。「日本経済にとってデフレは良くない」という認識は広がっているものの、「賃金上昇などをともなったデフレ脱却によって自分の家計もいずれ潤うだろう」といった家計へのプラスの影響はイメージしにくいため、デフレが好ましいという回答が多くなったようである。
また、物価が「毎年2%ずつ上昇すること」に対する回答分布も同様の結果だった。自分の家計をイメージすれば2%程度であっても物価上昇は好ましくないという回答が多かった。
むろん、実際にインフレ率が変化したときの賃金の増え方などによってこれらの回答分布は変化することが予想される。しかし、現在の経済環境では個人が2%程度のインフレに対しても警戒的なイメージを持っていることが示された。
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