韓国で日本の「納豆」がブームになった理由 市場規模は直近の10年間で「10倍」に拡大
健康志向の韓国人の間で納豆と人気を二分していた「清麹醤」だったが、ついに昨年、市場規模で納豆が追い越した。前出の経済誌記者はその理由をこう分析する。「清麹醤はとにかくにおいがキツくて、そのにおいが服にまでもついてしまうほど。そもそも、あまりのにおいに食べられない人すらいる」。においの問題に限らず、家庭で食べる場合は、他の食材と煮込む必要があって手間がかかることもあり、「健康によい大豆食品として、より簡単に食べられる納豆に人気が集まっていて、その格差は広がってきている」状況だという。
「手軽な健康食」として広まる納豆
つまり、健康志向の人にとって、納豆はずっと手軽に食べられるので無理なく続けられるのが大きなポイントになっている。タレをかけなければ、塩分をほぼ取らずに済むことも人気の背景にある。
もちろん、納豆が万人受けするかというと、そうではない。
「清麹醤も好きだけれど、調理するのに手間がかかるので、『今日は食べるぞ』というときにしか食べなくなった」という10年来の納豆ファン(韓国人の40代主婦)がいる一方で、「納豆のあのネバネバとした食感が苦手」(韓国人女性20代会社員)という人もいる。当然、見た目に抵抗を感じる人もいて「糸を引くのが見た目的にどうしてもダメ」(韓国人の50代男性会社員)と清麹醤派もまだまだ根強い。
同じ大豆食品でいえば、韓国の夏の定番メニューに「コングクス」という麺料理がある。これは、日本でいえば冷やし中華のように、主に夏に食べる麺料理。大豆、緑豆、または最近では黒豆をゆでて潰したものに、それぞれの家庭や店の秘伝のものを加えてスープ仕立てにし、そこに麺が入る一品だ。豆乳スープに麺が入っていると言ったほうがイメージが伝わりやすいかもしれない。早いところでは3月ごろからメニューに並び、11月ごろまで食べられる。夏バテや疲労回復によいといわれ、ピーク時には専門店に行列ができる。
大豆を離れて、韓国の「健康食品」といったときに、真っ先に思い浮かべるのはやはり、キムチだろう。
乳酸菌をたっぶり含むといわれる発酵食品のキムチは、腸内環境を整えて、健康にも美容にもよいといわれ、韓国の食卓には欠かせない一品だ。最近では家で漬けることは少なくなり、市販されているキムチを好む傾向になっているが、韓国の年間消費量は約160万トン(世界キムチ研究所の2015年調査)にも上るという。
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