ソニー、大株主サードポイントの提案を拒否 アクティビストの今後の動きが焦点に

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ソニーは8月6日、取締役会における全会一致の決議に基づき、サードポイントLLCに書簡を発信したことを明らかにした。同時に書簡の内容も公開した。

ソニーの議決権のうち7%弱を保有するとされるサードポイントのダニエル・ローブCEOは去る5月14日、ソニー本社において平井一夫社長と面談。映画子会社(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)、音楽子会社(ソニー・ミュージックエンタテインメント)を上場させ、全株式のうち15~20%を売り出すべきと提案していた。今回の書簡は、その提案に対する回答だ。

拒否の代わりに情報開示を充実へ

結論から言うと、映画子会社、音楽子会社を100%所有し続けることが今後の成功に向けて重要であり、同事業の株式公開は、持続的な収益力の強化及び株主価値の向上を達成するためのソニーの戦略と相容れない、というもの。つまり、サードポイントの提案は受け入れられない、ということになる。ただし市場参加者に対し、両子会社の収益状況がよく理解できるように、2013年9月中間期からは、部門別の損益状況を開示するなど、ディスクロージャーを充実させることを明らかにした。

また、書簡では課題に直面しているエレクトロニクス事業についても言及。日本や欧州でスマートフォンの「エクスペリア」が好調な売り上げを記録していること、コンパクトデジタルカメラのサイバーショットRX1がカメラグランプリ2013を受賞したこと、プレイステーション4に対する肯定的なフィードバックが多いこと、テレビ事業の構造転換が計画どおりに進んでいることなど、平井氏が社長に就任してから1年間の成果を強調。エレクトロニクス事業の再建は順調に進んでいるとの認識を示した。

これまでにアップルから巨額の株主還元を引き出し、ヤフーの経営陣を入れ替えるなど、サードポイントはアクティビストとして輝かしい戦果を挙げている。「ダニエル・ローブ氏をサポートするチームは金融のエキスパートぞろい」(関係者)であり、このまま引き下がることはないだろう。ソニーからのゼロ回答を受け、サードポイントがどのような行動を取るかが、次の焦点となる。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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