「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない訳

人生には多くの選択肢がある。逃げればいい

心理学の有名な概念に「学習性無力感」と呼ばれるものがあります。これは長期間、人間や動物がストレスを受け続けると、その状況から逃げ出そうとする努力すら行わなくなるという現象です。よく引き合いに出されるのが、「サーカスの象」の例です。サーカスの象は足首にひもをくくられ、地面に刺した杭(くい)とつながれています。象は力が強いので、杭ごと引っこ抜いて逃げ出すことができるはずです。

本当なら杭を抜いて逃げることができるのに

しかし、サーカスの象はおとなしく、暴れたり逃げ出そうとしたりしません。サーカスの象は、小さい頃から足にひもをくくられ、杭につながれて育ちます。小さい象の力では当然杭は抜けません。つまり、小さいうちに、「抵抗してもムダ」ということをインプットしてしまうため、大きくなれば簡単に杭を抜いて逃げることができるのに、小さい頃の「ムダだ」という無力感を学習したことで、「逃げる」という発想がなくなってしまったのです。

これは人間にも当てはまります。人生にはたくさんの選択肢が存在します。ですが、ずっと杭につながれていた象が杭を抜いて逃げ出そうとしないように、人間も過度のストレスを受け続けると、逃げ出すという選択肢が見えなくなるのです。

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