「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない訳 人生には多くの選択肢がある。逃げればいい

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選択肢が見えていたとしても、「辞める」という決断ができない人もいます。「辞める」決断ができない人のお話を聴いていると、その大きな理由のひとつに、「辞めた後の生活が想像つかない」というのがあります。

人は、新しい環境、つまり未知の世界に不安を抱きます。学生のとき、「転校」や「進学」のタイミングで、不安や心配が湧き上がってきたのと同じように、「辞める」決断をして、新たな環境を選んだとしても、その新たな環境が必ず「より良い環境」とは限りません。そういった不安があるからこそ、「辞める」という決断がしづらくなるのです。

まずは休んでみるのも1つの手だ

このように、「辞める」選択肢が自分の中にあっても、不安があることで決断できずにいる人が、過度のストレスによりどんどん追い詰められ、選択肢があったことすらわからなくなり、「もう何もできないから、死ぬしかない」と考えてしまうこともあります。

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もしも「辞める」勇気が出ないなら、「まずは休んでみる」のも選択肢ではないでしょうか。メンタルクリニックで、うつの診断テストを受けてみたり、話を聞いてもらったりしてみるのも1つの方法です。

休むことができたら、そのときに、新たな環境になりそうな職場について調べてみるといいでしょう。たとえば、転職エージェントに登録してみてもいいと思います。そして「あぁ、こんな職場なら、楽しいかも」「こんな仕事やってみたかった」と思うことができれば、「職場が変わることへの不安」も解消されるはずです。また休んでいるあいだに、会社が職務内容や環境を調整してくれて、その結果、今の職場で働きやすくなるケースもあります。

環境を変えることで初めて気づくこと、見えてくるものがあります。会社が異動をさせてくれたり、職務を見直してくれたりする可能性が低い、そもそも会社そのものが「ブラック」であるケースも想定されます。そのようなときは「辞める」の選択肢が見えているうちに、誰のためでもなく、自分自身のために行動を起こしてほしいと思います。世界は本当に広いのです。

ゆうきゆう 精神科医、作家、マンガ原作者

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ゆうきゆう / Yu Yuki

東京大学医学部医学科卒業。医師として診療しながら読者数16万人のメールマガジン「セクシー心理学」を発行。Twitter(https://twitter.com/sinrinet)で約40万人のフォロワーを抱える。『相手の心を絶対に離さない心理術』(海竜社)など。ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックグループ総院長

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