「とりあえず方式」が勉強しない子に響くワケ 大人でも大苦戦「気乗りしない」の解決法

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子どもも「それくらいならできるよ」ということでやり始めました。男の子ですから、教科書やノートを手で持って丁寧に出すようなことはしません。箱の上でランドセルを逆さまにして、足で蹴って出すそうです。でも、それでもいいとしているそうです。

ランドセルの中身を毎日すべて出すのは、とてもすばらしいことです。蛇腹折りになった1週間前のお便り、固まって化石化したハンカチ、腐りかけた靴下……。毎日出していればこういう状態になるのを防ぐことができます。何よりもよいのは、宿題に必要な物もすべて外に出て箱の中に入ることです。遊びから帰ってくると、その箱の中の宿題が自然に目に入ります。そのお母さんが言うには、たったこれだけのことで宿題への意識が高まり、また宿題が手に取りやすくなったようで、がみがみ叱る回数が減ったそうです。

取りかかるときのハードルを下げる

このように、宿題に取りかかるときのハードルを下げてあげることはとても重要です。大人の仕事もそうですが、取りかかってしまえば半分終わったようなものであり、とにかく取りかかるのが大変なのです。ですから、本格的に取りかかる前に、1歩でも1ミリでもゴールに近づいておくことが大切です。

そこで、私がそのお母さんに提案したのは、さらに1歩近づいておく方法です。たとえば、遊びに行く前に、その箱の中から宿題に必要な物を取り出して、テーブルや机の上に出しておきます。つまり、算数プリント、漢字ドリル、書き取り帳、筆記用具、下敷き、などを出しておくのです。すると、「これだけやればいいんだ」というちょっとした見通しがつきます。また、さらに1歩近づくとしたら、その日やるページを開いておく、下敷きを挟んでおく、付箋紙を挟んでおく、などもいいでしょう。これで、さらに見通しがつきます。私はこれらの工夫を「とりあえず準備方式」と呼んでいます。

このようなことを一切しないまま遊びに行くと、どうなるでしょう? 遊びから帰ってきても、宿題に必要な物はすべてランドセルの中に入ったままです。そこに宿題があるということはわかっていますが、まったく見通しがついていないので、どんなものがどれだけあるのか全然わかりません。それは得体の知れない妖怪のようなものであり、時間が経てば経つほど巨大になり、ますますハードルが高くなっていきます。

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